昨夏の甲子園を制した作新学院高はエースの今井達也(現西武)がほぼ1人で投げきった。しかし、今夏の甲子園覇者となった花咲徳栄高は、全6試合を2人のエースによる継投策で乗り切った。そのWエースを務めたのが侍ジャパンU-18日本代表にも選ばれた清水達也、そして綱脇慧だ。清宮がプロ志望を表明したその日にプロ志望届が受理され、公示された。
今夏の甲子園では試合中盤からの起用が多かった清水。今大会唯一の150キロ超えを記録するなどストレートで押し込む本格派だ。身長182センチから投げ込む球には力があり、フォークで空振りを奪うこともできる。高卒ということもあり先発で育てたいところだが、松井裕樹(楽天)が抑えで成功している例を見ると、早くから中継ぎとして育てられる可能性もありそうだ。
一方の綱脇は甲子園6試合で全てにおいて先発。最速141キロと決して球が速いわけではないが、制球がよくコントロールで勝負するタイプだ。決勝では中村奨成(広陵高)からスライダーで大会初三振を奪うなど変化球のキレもある。ドラフト上位は厳しいかもしれないが、下位指名はありえそうだ。
今年、この両投手は春季関東大会で清宮と対戦している。先発した綱脇は清宮に高校通算94号となるソロ本塁打を浴び、清水は2本の適時打を打たれた。甲子園制覇を果たしたものの、清宮にはリベンジを果たしていない。春季大会の借りはプロの世界で返したい。
西東京における宿命のライバルといえば早稲田実と日大三高。この両校が死闘を繰り広げた昨年の秋季東京都大会決勝で、脚光を浴びることになったのが日大三高の左腕・櫻井周斗だ。清宮と公式戦初対決となったこの試合に敗れはしたものの、5打席連続三振を奪う快投を披露。5打席とも内角のストレートを見せ、最後は外角へ逃げるスライダーで打ち取るお手本のような配球だった。
櫻井は1年時から野手としてレギュラーを獲得するなど打撃で注目されてきた選手でもある。2年時からは投手も兼任する二刀流としてプレー。ストレートと曲がりの大きいスライダーで頭角を現した。今年のセンバツでは履正社高の安田からも3打席連続三振を奪っており、公式戦において東西のスラッガーを封じた唯一の選手だ。
ストレート、そしてスライダーが武器の高卒左腕で思い起こされるのは松井裕樹(桐光学園高→楽天)、小笠原慎之介(東海大相模高→中日)。松井はプロ入り後、チェンジアップに磨きをかけ、大きく羽ばたいた。小笠原も後に続こうとしている。櫻井ももう一つ武器となる変化球ができると、おもしろい存在になりそうだ。
文=勝田聡(かつた・さとし)