島内は明治大時代に俊足巧打の左打者として鳴らし、2011年のドラフト6位で楽天に入団。1年目の開幕戦で颯爽とプロ初出場を飾ると、2年目の2013年はスタメンで83試合に出場し、初優勝に貢献。しかし、その後はケガにも見舞われ、出場機会を減らした。
転機は2016年。指揮官が梨田昌孝監督に代わり、肉体改造にも成功したこの年、自身初の100試合以上(114試合)に出場。9本塁打を放ったが、春先に出遅れたことが響き、惜しくも約60打席ほど足りず、規定打席到達を逃した。
その悔しさをバネに今季は満を持しての活躍が続く。茂木栄五郎、ペゲーロの陰に隠れがちだが、島内の攻守両面での働きは見逃せない。8月7日現在、打率.273、出塁率.357、10本塁打、35打点、OPS.771。出塁率、本塁打、OPSはキャリアハイの数字だ。
持ち味のパンチ力にさらなるパワーがつき、引っ張り傾向の強かった打撃は広角打法へと華麗に進化した。たとえば、昨季までの19本塁打中、逆方向への一発は2013年6月28日のオリックス戦で記録した左中間への1本のみだった。
しかし、今季は早くもレフト方向への本塁打を3本記録している。また、8月2日の西武戦では牧田和久から10号ソロを放ち、茂木に続く球団史上2人目の「生え抜き打者シーズン2ケタ本塁打」も達成した。
今季は巧みなバットコントロールを生かした粘りのアプローチも光っている。7月21日のオリックス戦で平野佳寿から決めたサヨナラ打は、9球勝負を制しての一打だった。
現在、387打席で39三振に対し、四球は43。パ・リーグの規定打席に到達している打者27人中、四球が三振を上まわる打者は島内のほかには、選球眼に定評があり、過去3年連続打率3割を達成した当代屈指のコンタクトヒッター、中村晃(ソフトバンク)だけである。前述した島内の数字は、その中村(417打席、三振40、四球43)と、ほぼ同じなのだ。
この二大進化があったからこそ、梨田監督も1番・茂木が故障離脱したとき、島内に茂木が戻ってくるまでリードオフマンの要職を託したのだろう。1番打者として出場した26試合中、安打や四死球で出塁した試合は24試合を数え、立派に代役を務めた。
今後、鷲の背番号35がどこまでやってくれるか、熱い夏の活躍に期待したい。
文=柴川友次
NHK大河ドラマ「真田丸」で盛り上がった信州上田に在住。郷里の英雄・真田幸村の赤備えがクリムゾンレッドにみえる、楽天推しの野球ブロガー。開幕前から楽天有利、ホークス不利の前半戦日程を指摘、イーグルス躍進の可能性を見抜いた。