陽岱鋼、森福允彦、山口俊と、史上初のFA選手3名の補強を敢行した巨人。そのうち、陽は金銭での補償、森福は年俸Cランクのため補償不要となっていたが、山口の人的補償として平良拳太郎のDeNA移籍が発表された。
平良は、DeNAの公式サイトを通じて、以下のコメントを発表。新天地での活躍を誓った。
「突然のことでびっくりしましたが、選んでいただいて嬉しく思っています。横浜DeNAベイスターズは投手力、打撃力とも強い印象がありますが、自分もコントロールに自信がありますし、ゴロを打たせて取るピッチングで先発として試合を作っていきたいと思います。横浜スタジアムは中学の全国大会で投げた球場ですし、キャンプ地の宜野湾球場も高校春の大会で優勝した球場でもあり、いろいろ縁を感じています。1年目からしっかり力を出して、チームに貢献したいです」
平良は、2013年のドラフト5位で巨人入り。2017年が4年目のシーズンとなる右投げの投手だ。沖縄の北山高時代は、甲子園には出ていないが、1年時からベンチ入り。3年春の県大会では、エースとしてチームを優勝に導いている。
投手らしいスラリとした体形で、上体をややトルネード気味にひねり、サイドに近いスリークオーターから繰り出す140キロ台中盤のストレートとスライダーが持ち味。
1軍での登板経験は2016年4月7日の阪神戦1試合のみで、このときは4失点を喫し4回途中降板。プロの厳しさを思い知らされる形となったが、初回から2回にかけてヘイグ、福留孝介、ゴメス、鳥谷敬と中軸を相手に4連続三振を奪っており、素材のよさはうかがわせた。
2016年オフには高木勇人、岡本和真とともにプエルトリコのウインターリーグに武者修行に出て、経験を積んできている。
入団会見に同席した高田繁GMは、「先発を第一に考えているが、チーム事情によってはリリーフもある」と、平良の起用法を示唆。
昨季のチーム勝ち頭だった山口俊が抜け、ベテランの三浦大輔も引退。残された投手陣で過去に2ケタ勝利の経験があるのは、ベテランの久保康友、2014年に11勝をマークした井納翔一の2人のみ。
それでも、先発陣はそれなりに揃っているのがDeNAだ。すでに開幕投手に指名されている石田健大を筆頭に、前述の井納や久保、昨季、ルーキーながら8勝を挙げた今永昇太、2016年は振るわなかったが地力を秘める高崎健太郎や三嶋一輝も今季は先発の座を虎視眈々と狙っている。
また、新外国人のウィーランドやクライン、昨秋のドラフト1位の濱口遥大(神奈川大)、2位の水野滉也(東海大北海道キャンパス)、6位の尾仲祐哉(広島経済大)あたりも、キャンプからオープン戦で結果を出せるようならローテーション争いに加わってきそうだ。
ここに平良が加わり、競争をさらに激しくすれば、チームとしても戦力の底上げとなる。
対戦したい選手として、2軍でバッテリーを組んだ阿部慎之助の名前を挙げた平良。ぜひとも、1軍の試合で阿部を慌てさせるようなピッチングを期待したい。
文=藤山剣(ふじやま・けん)