本命不在といわれるなか注目したいのが1958年夏の「蜃気楼旋風」で有名な進学校・魚津を支える大型右腕の鍛冶柊平だ。高校入学当初の球速は110キロ程度だったが、そこから着実に進化を続け、昨秋以降の県大会6試合で防御率1.61、奪三振率9.12をマーク。中央では“無名”ながら、対戦相手を視察に訪れたNPBスカウトから「ストレートの質がいい。将来性も高い」と高評価を得るまでに。大型投手には稀有なクレバーさも兼備。古豪復活を目指すチームの命運を握る投球、さらなる成長に期待がかかる。
V争いのカギを握るのは木村太哉(高岡第一)、?田陸(富山第一)の両左腕。入学当初から豊富な経験を積んできた木村は安定感の増した投球で今春、チームの14年ぶりの県制覇に大きく貢献した。?田もチームを昨夏から3季連続の県大会決勝進出に導き、大黒柱としての存在感を誇示。昨秋の県招待試合では智辯学園を相手に完封勝利を挙げ、実力を示した。
他校が警戒を強める沼田将太(富山東)、齋藤真吾(南砺福野)の実力派に加え、小気味のよさと完成度の高い投球で創部2年目のチームを初の県8強に導いた早瀬翔馬(未来富山)、今春公式戦初完封勝利を挙げた飯倉和也(砺波)、5月の「魚津市長杯」決勝で今春新潟県大会優勝の日本文理を相手に1失点完投勝利の快投を演じた佐藤陸斗(魚津工)、公式戦初先発ながら安定感を発揮した春田琉成(不二越工)ら成長をアピールした3年生右腕の顔ぶれは多士済々。
今春県大会で高岡商から完封勝利を挙げ、一躍脚光を浴びた黒田俊希(砺波工)、打力に加え、今春は投手としての評価を高めた中家諒、将来性豊かな田中誠央、佐伯成優を加えた高岡第一の3投手に勝負勘が優れた左腕・野村弥玄(桜井)ら次代の富山を背負う2年生の投球もマークしたい。
有望視された島津野明(富山工)、稲葉魁晟(高朋)、佐伯涼(富山国際大付)は試練の春を経て、最後の夏に本領を発揮することができるか。
野手筆頭は堀裕貴(高岡商)。昨夏の甲子園でファンを唸らせた肩に加え、昨秋は逆転サヨナラ本塁打2度の離れ業を演じるなど打撃のスケールもアップさせている。
県ナンバーワン遊撃手を争うのは本郷凌羽(富山第一)と安川快飛(富山国際大付)。本郷は攻守の要として存在感があり、さらに今春県大会では3試合で救援登板する万能ぶりを発揮。安川は1年秋に北信越大会4強を経験するなど、場数を踏んできた。牽引役としての真価が問われる夏になる。
この他では、広角への長打力が光る前田幸輝(富山商)、昨秋公式戦で18安打、驚異の打率.750を残した杉村大地(高岡第一)、昨夏に高岡商としては夏50年ぶりの甲子園での本塁打をバックスクリーンに運んだ井林泰雅ら強打の内野手や、左右の大砲候補・辻井蓮(富山第一)、廣田陽斗(高岡第一)の打撃が必見だ。
また、今春、最も印象に残った打者は1年生の中川翔太(新川)。「臆することなく振れる強さ」という最大の魅力を失うことなく、どう成長していくかを今後も注視していきたい。
春季県大会で決勝進出した高岡第一、富山第一が総合力で他校をリードする。
春を制した高岡第一は廣田、杉村らを軸とした攻撃力、投手層の厚さはともに県内随一。
昨秋県Vの富山第一はエース・?田に続く2番手以降の投手起用法がカギとなりそう。
春4強の富山国際大付、砺波工に加え、春に早期敗退した高岡商、富山商がどう巻き返してくるかも大きな見どころ。
春季大会終了後に戦力をアップさせている高校も複数あり、大会序盤から目の離せない展開となりそうだ。