オープン戦終盤、頼れる男が1軍に戻ってきた。
2014年に中堅でゴールデングラブ賞を受賞。元々遊撃手として入団し、二塁もこなす守備のスペシャリスト・大和だ。
秋季キャンプは故障で不参加。今季からスイッチヒッターに挑戦していることもあり、安芸の2軍キャンプでは掛布雅之2軍監督の下、左打席でのバッティング感覚を磨いてきた。
とはいえ大和は守備の人。出場機会を増やすためにスイッチに転向したが、今シーズンは試合終盤の二塁の守備固めが大和の主な役割になるだろう。
二塁は上本のほかに、ルーキーの糸原健斗、足が速く器用さを持ち合わせる荒木郁也もおり超激戦区ではあるが、守備力においては大和の右に出るものはいない。
守備力という点では外野も不安要素が多い。そこで試合終盤、頼りになる男といえば俊介だ。大和同様、守備固めでは欠かすことはできない。
このキャンプは初日から1軍に帯同。守備はもとより、今シーズンは打撃にも磨きがかかってきた。力強いスイング、そしてスイングスピードは昨シーズンのそれを上回り、オープン戦では13打数7安打、打率.538。打者としても期待を抱かせる。
俊介は、金本知憲監督が現役時代、継続していた連続試合出場記録を自らの盗塁死でストップさせた苦い経験を持つ。広陵の大先輩でもある金本監督に恩返しができるか。
今年30歳を迎える大和、そして俊介。
二人とも俊足、強肩、広い守備範囲だけでなく、ともに登録名を前田大和から大和、藤川俊介から俊介へ変更した共通点を持つ。
そして、守備の人のイメージが強いものの、守備だけにとどまらず、2人とも打撃向上でレギュラー奪取に燃えているところも似通っている。
チームは今、福留、糸井らのベテラン勢が牽引し、北條、高山など若手の台頭がめざましい。そのなかにあって決して華があるわけではないが、中堅世代の大和、俊介に与えられた役割は、チームを優勝に導くために必要不可欠なものだ。
守備固めで大和、俊介の出場機会が増えるということは、阪神の勝ちゲームが増えるということ。守り勝つ野球は彼らに委ねられているのかもしれない。
文=まろ麻呂
企業コンサルタントに携わった経験を活かし、子供のころから愛してやまない野球を、鋭い視点と深い洞察力で見つめる。「野球をよりわかりやすく、より面白く観るには!」をモットーに、日々書き綴っている。