先ごろ、ラミレス監督は早々に「開幕投手は石田」とコメント。思えば昨シーズンの開幕投手には山口が指名されたものの、故障で井納翔一が代役を務めた。当時、石田は今ほどの信頼を得てはいなかった。
しかし、昨シーズンの奮闘で一気に信頼を勝ち取り、秋には侍ジャパンにも選出。球界で指折りの左腕と目されるようになった。
昨年シーズンの勝利数は9勝。ラミレス監督の皮算用では、今シーズンは12勝くらいを計算しているのではないだろうか。その予想勝ち星は、昨シーズン、山口が勝ち頭として挙げた数とほぼ同じ。山口の担っていたエースの座に、石田を据えようというラミレス監督の意図が見える。
DeNAは山口の人的補償として巨人から平良拳太郎を獲得した。昨シーズン、平良は1試合に登板。この1軍初登板では敗戦投手となってしまったが、好素材との呼び声が高いサイドスローの右腕だ。
3勝挙げてくれれば、昨シーズン3勝したペトリック(退団)の勝利数を補える。未知数のダークホースだが、21歳という若さを含めて、飛躍に期待したい。
今オフに獲得した助っ人投手は、山口の穴を埋めることができるか? 先発候補のウィーランドは、昨シーズンは3Aで14勝6敗の成績を収めている。またもう一人の先発候補・クラインは昨シーズン、3Aで5勝1敗の成績を残している。
山口の穴に加え、昨シーズンの助っ人投手陣の成績を考えると、ウィーランドとクラインで10勝は積み上げてほしいところだ。
しかし、助っ人選手は日本のプロ野球にフィットできるかどうかも、大きな課題。その上で5勝なり、まとまった勝利数を挙げられるのか。それは蓋を開けてみないとわからないのが実情だ。
2016年のドラフトで獲得した投手からは、昨シーズンのルーキー・今永昇太のような逸材が頭角を現してくれるだろうか?
もちろんルーキーなのだから、時間をかけて育てることも必要だが、少なくとも1人は1軍で活躍する投手が現れてくれないと厳しい。濱口遥大(神奈川大・ドラフト1位)をはじめとする、新人のなかから、即戦力投手が現れてほしい。
そこで注目したいのが、JR東日本から入団の進藤拓也。8位と下位指名された24歳のルーキーだが、大学・社会人野球で経験を積み、基礎体力も備わっている即戦力候補だ。
正直、山口の代わりを簡単に見つけられる状況ではない。既存戦力の底上げ、助っ人と新人の頑張りで穴を埋めざるを得ない。もし、その穴が埋まらなければ、またBクラスへ転落。再び、低迷へと繋がってしまう……。投手陣はそんな生命線を握っているだけに、山口の穴を埋める投手が現れるのを願ってやまない。
文・元井靖行(もとい・やすゆき)