ドラフト候補選手の魅力をあますところなく伝える「ドラフト候補怪物図鑑」。
今年のドラフト会議での上位指名が濃厚な目玉選手9名と、来年のドラフト会議で要注目の3名を4週間に渡って徹底解剖。新人ライターの山岸健人さんが、『野球太郎』持木秀仁編集長に根掘り葉掘り質問しまくります。
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今回は、昨年の段階から「ドラフト1位間違いなし! 12球団競合か!?」と評価されるも、右肩に不安を抱える最速156キロ右腕・田中正義投手(創価大)をピックアップ!
山岸:田中正義投手はいわずと知れた今年のドラフト1位候補。今年の春に右肩を痛めるまでは「もしかして12球団競合もありえる!?」と騒がれたほど、「怪物」の呼び名にふさわしい存在です。あらためて田中投手のすごさを教えてください。
持木:なんといっても最速156キロの圧倒的なストレートが魅力ですね。制球力、キレも抜群です。ストレートとわかっていても打者はなかなか打つことができません。
山岸:変化球はどうですか?
持木:変化球は主にスライダー、カットボール、カーブ、フォークを使っています。落差のあるカーブやフォークで三振を取ることもできます。
山岸:昨年の夏に行われた大学日本代表対NPB選抜の試合で見せた快投はすごかったですよね。
持木:はい。あの試合では、今年ブレークした西武の山川穂高選手らプロの若手有望株を相手に7者連続三振を含む4回無安打無四球8奪三振。圧巻の投球を見せ、プロの関係者と観客の度肝を抜きました。
山岸:プロでもすぐに活躍するイメージしか浮かびませんが、実際のところはどうでしょう?
持木:故障さえなければ1軍のローテーションをしっかりと守って投げられる投手だと思います。即戦力と評価された大学出身投手が1年目から結果を出している、ここ何年かの流れから見ても間違いないでしょう。
山岸:1年目から2ケタ勝利も夢ではないと。
持木:そうですね。新人王も十分ありえるでしょう。ただ、故障だけが心配ですね。
山岸:ただ、右肩を痛めているというのが気になりますよね。いつまでも再発の恐れがつきまといそうで……。
持木:故障を抱えている箇所が肩だけに気になります。肩の故障は選手生命を脅かす可能性もある症状ですから。田中投手は高校時代に右肩関節唇を痛め、今年の春も右肩関節に炎症を起こしていますし。
山岸:すでに度重なる肩の故障が……。今後もつきあっていくしかないのかもしれませんね。
持木:田中投手は真面目でしっかりしたタイプですし、肩はもちろん、体のケアにも入念に気を配っています。ただ、そういうなかで、再び右肩を痛めた点は少し引っかかります……。ですが、そこは田中投手を信じたいですね。
山岸:田中投手は、全球団1位指名もあり得るといわれてきました。ですが、今年になって藤平尚真投手(横浜)、今井達也(作新学院)ら「高校BIG4」が頭角を現してきています。それでも大多数の球団が田中投手を1位で指名すると思いますか?
持木:各チームのドラフト戦略次第でしょうね。あくまで去年の段階では田中投手がダントツに抜けていましたけど、今年になって能力の高い高校生の投手や即戦力の大学生投手たちの評価が高くなってきましたから。
山岸:となると、クジの外れを回避するために……。
持木:田中投手を重複指名して外すんだったら、他の選手を指名しようという球団が増えてもおかしくはないと思いますね。
山岸:大学生では佐々木千隼(桜美林大)や柳裕也(明治大)、社会人では山岡泰輔(東京ガス)らがどんどん評価を上げていますし、田中投手一色ではなくなっているムードは感じますね。そこで、それでもやはり1位指名したいと考える球団はどういうところでしょう?
持木:即戦力投手がほしい球団でしょう。1年目から15勝はできると評価しているスカウトもいますし、田中投手がいることで、チームの投手力アップは間違いありませんから。
右肩に不安を抱える田中投手。それでも今秋のリーグ初戦では復活の勝利を挙げ、プロからの評価は揺るぎない。1年目からプロでの大活躍を期待せずにはいられない。
文=山岸健人(やまぎし・けんと)