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“充実の環境”Hondaで日本一を目指す元東都戦士たち〜福島由登、石橋良太、井上彰吾

 今回は、7月18日に開幕する社会人野球最高峰の大会『第85回都市対抗野球大会』(29日まで/東京ドーム)を前にした特別版をお送りします。

 都市対抗出場チームの中でも、特に“東都大学リーグ出身者率”が高いHonda(狭山市)。2009年以来の優勝を狙う同チームの東都出身若手3人衆に、現況と大会への決意を聞いた。


[写真左から]
福島由登(ふくしま・ゆうと)
徳島県出身。ヤングリーグ・徳島ホークスから大阪桐蔭高に進み、3年夏にエースとして全国制覇。青山学院大進学後は東都1部通算7勝10敗(※2部[1季のみ]通算6勝1敗]。Honda入社2年目となった今季は登板機会を増やし、チーム最多となる予選3試合に登板するなど、エース格に台頭している。178cm80kg、右投右打。

石橋良太(いしばし・りょうた)
大阪府出身。大阪・浜寺ボーイズから高知・明徳義塾高に進み、2年春に二塁手として甲子園出場。2年秋から投手も兼任し、拓殖大入学後の1年春も投手・野手それぞれで出場する。1年秋から投手に専念。4年秋にはチームの創部史上初昇格となった東都1部で4勝を挙げる。今春のHonda入社後は5月のJABA九州大会で最高殊勲選手獲得。175cm77kg、右投左打。

井上彰吾(いのうえ・しょうご)
福岡県出身。フレッシュリーグ・筑紫エンデバーズから筑陽学園高に進み、その後、日本大へ進学。入部後は東都1部(2季在籍)・2部(6季在籍)通算108安打を記録。入社1年目からレギュラーポジションを獲得し、2年目となった今年は主軸を打つことも。181cm84kg、右投左打。

※2014年7月9日にHonda硬式野球部寮にて取材


めっちゃ仲いいですよ(石橋)

 まずは、それぞれ大学時代は1部2部両方を経験し、もがきながらも成長を続け、現在はHonda強力投手陣の一角を担う入社2年目・福島由登投手と新人・石橋良太投手の右腕コンビに話を聞く。

▲青山学院大時代の福島由登

――現在の調子はいかがですか?

福島「投手陣は皆調子が良いので、都市対抗では皆やれるんじゃないかなと思っています」

石橋「悪くないです!」

――昨秋の石橋投手は故障明けで、まだベストの状態ではなかったでしょうけど、現在はどうですか?

石橋「大学時代のベスト時より、今は上ですね」

――福島投手は昨年、都市対抗は未登板も、秋の日本選手権で1回戦(先発)、2回戦(中継ぎ)と登板しました。どこから力を発揮できるようになったんですか?

福島「去年の都市対抗が終わってから、夏のオープン戦でいろいろ試しながらやっていって、そこで掴んだかなと思います。持ってる球は変わらないんですが、佐伯さん(亮/捕手)や筑川さん(利希也/投手)から配球などを勉強して、バッターとの駆け引きをできるようになったかなと」

――投手陣やバッテリー間でコミュニケーションも多いんですね。

両者「仲いいっすね。めっちゃいいですね」

石橋「拓大も仲良かったですけど、Hondaもめっちゃ仲いいですね。先輩から喋りかけてくれるんですよ」

福島「上の人が優しいんで、僕たちがやりやすいようにやってくれています」

――佐伯さんや筑川さんはどういったところが凄いですか?

福島「やっぱり経験値が高いので、それに裏打ちされた配球ですね。佐伯さんは自分がビックリするような配球もしてくださるので」

石橋「筑川さんは、こうなったらこうでと、いろんなパターンを持って考えているので、それが凄いなと思いますね」

福島「あとは技術があってこその、そういった部分なので凄いですね」

――先輩・福島投手から見て、後輩・石橋投手の凄いところはどんなところだと思いますか?

福島「凄いですよー、石橋は(笑)。自分は1年目でこんなに投げられないと思います。賢いですね。投げながら修正できるので、そこが凄いなと」

――では、後輩・石橋投手から見て、先輩・福島投手はどういったところが凄いですか?

石橋「もう今日(オープン戦)が、いや今日も凄かったです!」

福島「ハハハ(笑)」

石橋「“最近あかんわ……”って言いながらもできちゃうので。ピッチングとかも見てても……違いますね!(笑)」

福島「何が違うねん(笑)」

石橋「コントロールが良いです。パーンッと来るんですよ」


▲拓殖大時代の石橋良太

早く東京ドームのマウンドで投げたい(福島)

――都市対抗独特の雰囲気についてはどう思われますか?

福島「去年(登板無しもベンチ入り)、球場の雰囲気は感じたので、飲まれることは無いかなと思いますし、最近は“早く投げたいなあ”という気持ちが出てきました」

石橋「僕は大舞台に慣れてないので、飲まれないようにしないと……」

――甲子園出ていても、大舞台に慣れないですか?

福島「甲子園も投手としては、行ったことないからやろ?」

石橋「そうですね。(東都含め)あんまり人の入ったところで投げたことないので(笑)」

――課題は今どんなところですか?

福島「高校の時からずっとなんですけど、右打者へのインコースのコントロールですね。レベル上がるにつれ、それが無いと厳しくなってきているので」

石橋「真っすぐですね。それができれば変化球も決まってくると思うので」

――2009年以来の都市対抗制覇に向け、会社の期待も大きいと思います。

福島「自分の部署に野球部は2人しかいないので、その分、横断幕を作ってくれたりしています。だから、投げている姿を見せられれば、会社の人に恩返しできたり、元気を与えられたりできると思うので、まずはしっかりと登板したいです」

石橋「自分が思っていた以上に、働いている人の応援があるので、力になるんですよね。それに応えたいです」

西郷さんや多幡さんの存在が大きい(井上)

 続いて、話を聞くのは井上彰吾外野手。大学通算108安打とまさに“東都の安打製造機”だった井上は社会人でも、その打棒を生かしレギュラー定着。さらなる高みを目指している。



――社会人2年目で主軸も任されるようになりましたが、慣れしてきたというような手応えはありますか?

井上「そうですね。ベテランの方々に経験的なことや、技術的なことを教えてもらえるおかげで(社会人のレベルにも)慣れてきました」

――福島投手と石橋投手も同じようなことを言っていました。

井上「ビックリしたのが、1人も嫌な先輩がいないんですよ。1人ぐらいは嫌な人いるもんですが(笑)。野球に集中できる環境が揃っていて、Hondaに来て本当によかったなと思いますね」

――先輩方はとても大きな存在なんですね。どんな風に吸収しているのですか?

井上「打撃のことについては、“教わったから、こうする。ではなく、自分の中でこだわっていくことも大事だよ”と教えてもらいました。それを理解した上で、西郷さん(泰之/内野手兼コーチ)や多幡さん(雄一/内野手)ら凄い方が多いので 、今でもいろいろ聞きますね。自分は聞きたがりなので(笑)。そこで教えてもらったものを吸収し、自主練で自分の打撃を組み立てています」

――去年の都市対抗もスタメンで出場されましたが、あの雰囲気はどうでしたか?

井上「あんな大観衆の前で野球したことなかったので、興奮しました。自分は甲子園も出たことないし、東都でもそんなにお客さん入ってないし、2部も多かったので(笑)」

――2年間で成長したことはどんなところになるでしょうか?

井上「去年に、社会人野球の新人研修や、全日本の合宿に呼んでもらって、いろんなチームの人と話す機会ができて、視野が広がりました。“こんなこと(トレーニング)してるんだ”っていう驚きとか、“どういう指導受けているのか”とか、そこでもいろいろな人に話を聞きましたね」

――では最後に、都市対抗への意気込みと見てもらいたいところを教えてください。

井上「大学の時から、“思いきりのよい、気持ちを全面に出したプレー”を心がけているので、そういうところを見てほしいです」


 3選手そして別取材でインタビューした仲尾次オスカル投手(白鴎大から入社2年目の左腕)まで、全員が口を揃えたのは「先輩選手の存在の大きさ」だった。


 激しい競争の中でも、数々の実績を残してきた選手が、その技術や経験談を惜しみなく伝える。そうしたことの積み重ねで若手選手を含めたチーム全体が底上げされ、チームとしての力がより強固なものになっているのだと感じた。

 Honda(狭山市)の初戦は23日の第3試合(18時開始予定)で、初出場となるJR西日本(広島市)との対戦。今回取材した若手選手の活躍はもちろん、若手・中堅・ベテラン選手の融合による力強い戦いにも期待したい。


■プロフィール
文=高木遊(たかぎ・ゆう)/1988年、東京都出身。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。昨年は東都大学野球春・秋1部全試合を取材。大学野球を中心に、アイスホッケー、ラグビー、ボクシングなども取材領域とする。高木遊の『熱闘通信』随時更新中(http://www.plus-blog.sportsnavi.com/buaka/)twitter(@you_the_ballad)

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