田中将大(ヤンキース)を輩出した北海道の強豪・駒大苫小牧。2004年と2005年に夏の甲子園を連覇。2006年の夏は決勝再試合の末に準優勝。この3年間の戦いは伝説となっている。
春季北海道大会の室蘭支部予選決勝。駒大苫小牧は4対2で苫小牧中央を下し、5年連続14回目の春季道大会出場を決めた。
ただ、今年の世代は昨秋の北海道大会の出場を逃している。ここで勝ち上がれたことは、夏に向けて大きな経験となるだろう。
2007年を最後に「夏の甲子園」から遠ざかっている駒大苫小牧。今年の夏こそ再び聖地の土を踏みたい。
春季北海道大会の旭川支部予選・Bブロックでは、旭川大高が11度目となる道大会の切符をゲット。
実に10年ぶりの出場だが、支部予選敗退が続く停滞したムードを打破するために、「2、3年生の丸刈り禁止」などチームの意識改革を推進したという。改革が実を結んでの好結果だった。
壁を打ち破った旭川大高ナインが、北海道大会でどこまで勝ち進めるか。夏への試金石にしてほしい。
もう1つ北海道のニュースを。札幌支部予選・Aブロックの代表決定戦は、札幌日大と札幌第一の組み合わせとなった。
本来ならこの試合は、北海道大会出場の可否が決まる大一番。しかし、センバツ出場校枠での札幌第一の北海道大会出場が決まっていたため、おのずと札幌日大も北海道大会へと駒を進めることとなった。
ただ、札幌日大は昨秋の北海道大会決勝で札幌第一に敗れている。たとえ春季北海道大会出場が決まっていても、ライバル相手に2度続けて負けたくはない。
結果は雪辱を期す札幌日大が5対2で勝利し、リベンジ達成。「負けられない戦い」を制し、スッキリとした気持ちで道大会に臨む。
青森の強豪・八戸学院光星にスーパールーキーが登場した。
その名は武岡龍世(1年)。同校のOBで巨人の顔として活躍する坂本勇人に憧れて、徳島からやってきた遊撃手だ。
入学してすぐに大学生との練習試合で本塁打を放つなど才能を見せつけると、公式戦では1番で出場。マルチ安打をマークするなど、早くも花形ポジションのレギュラーをつかみ取った。
「5季連続の甲子園出場を狙う」と志も大きい。四国から青森にやってきた1年生の今後に注目だ。
もう1人、紹介したいルーキーがいる。酒田南に現れた怪物候補・渡辺拓海。190センチ117キロの体躯を誇る大型投手だ。
春季山形県大会の庄内地区予選準決勝・羽黒戦でデビュー。8回2失点と好投すると、県大会でも1回戦・山形工戦で6回無失点と結果を出した。
ちなみに入学時の体重は125キロ。ダイエットで8キロ減量したそう。それでも十分「規格外の体」は目を惹く。覚えておきたい注目株である。
龍谷大平安と綾部がぶつかった春季京都府大会決勝は、龍谷大平安が2対0で勝利。2年ぶり28回目の優勝を飾った。
今春は、4年連続で出場していたセンバツを逃すなど苦しさを味わった。春の県制覇から勢いをつけて、これから始まる近畿大会で躍進し、夏につなげたい。
夏の甲子園は昨年、一昨年と出場を逃した。高校野球屈指の名門として、3年連続で夏を逃すわけにはいかない。
静岡、愛知、岐阜、三重の代表校による春季東海大会が5月26日から28日にかけて行われる。
今春のセンバツに出場したチームを見ると至学館(愛知1位)は中京(岐阜2位)と、静岡(静岡2位)は近大高専(三重1位)と対戦。
各県の上位校との対戦で経験を積み、夏の甲子園出場につなげるのは、果たしてどのチームか。
北海道、東北の高校野球も強豪チームの動向、有力選手の台頭と、気になる話題にあふれている。
「北国のチームは弱い」と言われた時代は過ぎた。駒大苫小牧が2000年代中頃に一時代を築き、光星学院(現八戸学院光星)は2011年夏、2012年春夏と3季連続準優勝。昨夏は北海が準優勝。今春のセンバツでも盛岡大付がベスト8。甲子園で十分に力のあるところを見せている。
それだけに北国の高校による、さらなる高校野球熱の高まりを楽しみにしたい。
文=森田真悟(もりた・しんご)