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【あのとき優勝をあきらめました…ソフトバンク編】「寝起き鈍器」の速攻で西武に3連敗&2連敗……

文=藤山剣

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 ホークスが、かつての経営母体だった南海の手を離れた1989年以降、初の優勝は1999年。王貞治監督がダイエーホークスを率いて5年目のことだった。その後、ソフトバンクに移譲され、さらにチームは強化。最近は、開幕前の評論家の順位予想でも、毎年のように上位に推されるほどになった。ソフトバンクファンの筆者としてもありがたい限りだ。

 1999年から2018年にかけての20年間、各球団別の年間順位を競馬のデータ風に集計すると、以下の通り。ソフトバンクは20年間で、1位が8回、2位が6回、3位が4回、4位以下が2回となる。

(カッコ内の数値は左から1位、2位、3位、4位以下の通算回数)。

ソフトバンク[8・6・4・2]
巨人[8・4・5・3]
中日[5・6・2・7]
日本ハム[5・2・5・8]
西武[4・8・3・5]
広島[3・0・2・15]
阪神[2・6・2・10]
ヤクルト[2・4・4・10]
ロッテ[1・1・4・14]
楽天[1・1・1・11]
オリックス[0・2・1・17]
DeNA[0・0・6・14]

 このデータから、いかに近年のソフトバンク(ダイエー時代の終盤も含む)が安定しているかがわかるだろう。ちなみに、上記期間よりもひとつ前の20年(1979〜1998年)のホークスを同様に集計すると[0・0・1・19](南海時代の晩年とダイエー時代の初期)。よく立て直せたものである。

 毎年のように好成績を残しているので、ファンにしてみればシーズン序盤は、そこまで順位にナーバスになることはない。今年も「交流戦で弾みがつくはず」とか「最後は上がってくるでしょ」と、多くのソフトバンクファンは高をくくっていたのではないか。

 しかし、最終的には2位でフィニッシュ。1年を通して一度も首位に立つことはなかった。

 それでも、山場はあったのだ。それが、「優勝、イケるんじゃね?」→「ダメか……」という期待からのつるべ落としを味わった、9月15日から17日の西武との3連戦だった。

連戦連勝で臨んだ首位・西武との3連戦


 今季のソフトバンクは、8月上旬あたりまで勝ったり負けたりで、貯金を作ることもままならなかった。開幕前後に昨季の最多勝投手・東浜巨、中継ぎエース・岩嵜翔、絶対守護神・サファテと、投手陣の前・中・後ろのトップメンバーが離脱。それだけでもかなりのダメージのところに、内川聖一が蓄積疲労で8月16日に登録抹消、翌17日にはデスパイネも膝を痛めてアウト。打線の中軸までも欠いてしまう。

 ここで一気にガタガタっときても不思議ないところだが、投手陣ではミランダや大竹耕太郎ら新興勢力の台頭だけでなく、クローザーを任された森唯斗の奮闘があった。野手では外国人枠の関係と左手薬指の骨折もあって出番に恵まれなかったグラシアルや実力者の長谷川勇也らが奮起し、その穴を埋めてみせた。

 それらが相乗効果となり、8月17日からの3カードを怒涛の9連勝で駆け抜け、そこから1敗したのちに、さらに4連勝を2度記録するなど、完全に波に乗っていった。

 そんな状況で迎えたのが西武との3連戦。最大11.5ゲームあった差を3ゲームまで詰め、イケイケのソフトバンクに対し、西武は9月に入って4勝5敗と、決して好調とは言えないチーム状態。この3連戦の両軍の先発投手は以下の顔ぶれだった。

1戦目 千賀滉大(ソフトバンク)×郭俊麟(西武)
2戦目 大竹耕太郎(ソフトバンク)×今井達也(西武)
3戦目 ミランダ(ソフトバンク)×ウルフ(西武)

 悪くても2勝1敗、上手くいけば3連勝で首位に並べる。先発投手の比較と、このときのチーム状態を考えれば、決して欲張った見積もりではなかったと思う。

 ところが、そんな皮算用は西武打線に木っ端微塵に打ち砕かれ、まさかの3連敗。しかも、1戦目が初回に3点、2戦目は初回と2回に4点ずつ、3戦目も初回に4点と、すべて速攻を決められた。サスペンスドラマでよくある、寝起きを鈍器で殴られたかのような立ち上がりだった。この3戦、一瞬たりともソフトバンクがリードする場面はなく、まさに「圧敗」の逆スイープ……。

 ゲーム差を縮めるどころか、突き放され、しかも西武にはマジック11が点灯。ここがソフトバンクにとっては、事実上の終戦となってしまった。

もうワンチャンある……!?


 ただ、可能性がある限り贔屓チームを応援してしまうのが野球ファンの性。悪夢の3連敗の次の試合から、ソフトバンクは7連勝。そう、チーム状態は決して悪くなかったのだ。この時点で直接対決が4試合残っていた。

 「全部勝てば、あるいは……」と一縷の望みをかけて臨んだ9月27日からの対西武3連戦。しかしここでも、容赦ないのが西武打線。前回の3連敗と同様に、またもや「寝起き鈍器」の速攻。ただ、9月中旬の3連敗と違って、今回は追いつき、また逆転もしたが、最終的にはねじ伏せられ2連敗。3戦目はなんとか勝利したものの、目の前での胴上げを阻止したに過ぎなかった。

来季こそはペナント、CSを完勝して頂点へ


 その後、CSファイナルステージでリベンジを果たし、ソフトバンクは日本シリーズへ。あの悪夢のようなメットライフドームでの3連敗&2連敗が嘘のようなハツラツプレーで、西武を撃破した。贔屓チームが戦う頂上決戦を見られることは、プロ野球ファンとしてこれ以上ない喜びだ。

 ただ、下剋上での日本シリーズ進出は、どこかすっきりしないのも本音としてある。西武ナインが1年間、死にもの狂いで頑張ってソフトバンク以下につけた6.5ゲーム差は、CSファイナルステージでの1勝のアドバンテージに換算され、それがCS初戦で敗れたことでチャラ。筆者の考えだが、いくらなんでものルール……と思ってしまう。

 これまでソフトバンクは、CS、プレーオフで何度も苦杯をなめてきた。だから今回はいいじゃないか。そんな意見もごもっとも。ところが、いざ下剋上を果たしてみると、なんか居心地が悪いんです。

 来年こそは、ペナント、CSを完勝し、スッキリした形で改めて日本一を目指してくれることを切に願いたい。
文=藤山剣(ふじやま・けん)

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