もともと名球会は、稲尾和久(元西鉄)、梶本隆夫(元阪急)、金田正一(元国鉄ほか)、小山正明(元阪神ほか)、鈴木啓示(元近鉄)、皆川睦雄(元南海)、村山実(元阪神)、米田哲也(元阪急ほか)の8人の投手、江藤慎一(元中日ほか)、榎本喜八(元ロッテほか)、王貞治(元巨人)、高木守道(元中日)、土井正博(元近鉄ほか)、長嶋茂雄(元巨人)、野村克也(元南海ほか)、張本勲(元東映ほか)、広瀬叔功(元南海)、山内一弘(元毎日ほか)の10人の野手、合計18人で1978年7月に発足した。
年月を重ねるごとに会員は増え、また、なかには諸事情により脱退する者や記録は到達しながらも入会を拒否する選手もいたが、現在、名球会の公式サイトの名簿には、投手16名、打者47名、名誉会員(故人)7名が掲載されている。
入会資格は、投手は通算200勝利以上、または通算250セーブ以上。打者は通算2000安打以上。この通算成績には、NPBでの記録だけでなく、メジャーリーグでの安打や勝利、セーブも合算される。
最近の日米通算での達成者には、打者では前述の青木以外に阪神の福留孝介(2016年6月26日に通算2000安打達成、NPB:1502安打/メジャーリーグ:498安打)、投手では広島の黒田博樹(2016年7月23日に200勝達成、NPB:121勝/メジャーリーグ:79勝)がいる。
名球会は、設立時の理念として野球の普及、底辺の拡大や社会貢献といったテーマを掲げていたこともあって、野球教室や国内外への野球用具の寄贈といった野球に関することはもちろん、チャリティーイベント、被災地への慰問など、幅広く活動している。
往年の名選手と身近に触れ合うことで元気づけられた人たちも多いかもしれない。
スポーツ界で栄誉を称える衣装としては、アメリカ・プロゴルフツアーのマスターズ優勝者に贈られる「グリーンジャケット」、ヨーロッパの自転車レース、ツール・ド・フランスのマイヨジョーヌ(総合優勝者)が着用する「イエロージャージ」などが有名だが、日本の名球会入りを果たした選手にも「名球会ブレザー」が授与される。
記録達成後、本拠地球場において、ゆかりのあるOBが濃紺のブレザーをかけてあげる授与式もおなじみの光景。荒木には中日OBの立浪和義氏、青木にはなぜか駒田徳広氏が授与式に参加。阿部には、長嶋茂雄氏の登場が有力視されている。
文=藤山剣(ふじやま・けん)