まずは、いい面から。筆者の予想以上の結果を出している点を見ていこう。
昨季のDeNAは総年俸が12球団最下位にもかかわらず、CS進出を決めた。近年はコストパフォーマンスがいいチームとしても名高い。
ローコストでも結果を出す。そのエンジンとなっているのは若手の活躍。つまり、ドラフト戦略が成果を上げているからではないだろうか?
2015年はドラ1ルーキーの山崎康晃がクローザーに定着。新人王を獲得した。昨季は同じくドラ1の今永昇太がローテーションの一角を担い、もう少しで新人王という活躍を見せた。
そして、今季のドラ1・濱口遥大もルーキーとしては順調なスタートを切っており、すでに5勝。交流戦では3勝を挙げ、交流戦勝率5割の立役者の1人となった。この調子を維持して2ケタ勝利を挙げれば、チームは勝率5割に向かって大きく前進する。そして、濱口も新人王獲得に近づくはずだ。
続いて期待はずれの点を見ていこう。
今シーズンの開幕投手・石田健大は開幕から3試合で2敗。4月22日にようやく勝ち星を挙げたものの、4月末に左ヒジの違和感で戦線離脱。エースを欠く苦しい展開で、ローテーションの再編を余儀なくされた。
新助っ人のウィーランド、パットンの好パフォーマンスで4月、5月をどうにか乗り切ったものの、今度はローテーション投手の座を確かにしたウィーランドが故障。5月24日の登板を最後に離脱した。また、今永も昨季の安定感が影を潜め、厳しい戦いを強いられた。
リーグ3位はキープしているが、彼らが本調子なら貯金を作り、もっと上位チームを脅かせていたはずだ。
しかし、明るい兆しも見えてきた。交流戦明け2戦目のヤクルト戦。石田が6回無失点の好投で2カ月ぶりの勝利。翌日のヤクルト戦でも今永が9回を4安打完封と好投した。2人とも復調気配だ。
2軍ではウィーランドが復帰登板し、2回を投げて無安打、4奪三振。1軍復活は間近だ。
これでラミレス監督の構想通りのローテーションに戻る。また、主砲・筒香が得意とする夏を迎え、攻撃力の向上も見込める。ようやく攻勢をかける準備が整った。
話は変わるが、気になる「あの人」のことを……。
昨季までのエースは、遠い空の下でどうしているだろうか? もちろん、巨人に移籍した山口俊のことだ。
長らく3軍での調整が続いたため、存在感がかなり希薄になっていたが、キャンプインから4カ月のブランクを越え、6月14日のソフトバンク戦に登板。6回を無安打に抑え、初勝利を飾った。
出て行かれたDeNAファンとしては複雑な心境だが、ここは「さすが元DeNAのエース!」と素直(?)に賞賛したい。
(成績は6月26日現在)
文=元井靖行(もとい・やすゆき)