突然ですが問題。投手の投げたボールが飛んできた鳥に当たった場合、そのボールはストライク? それともボール? 正解は……ノーカウントで投げ直しとなる。
この珍しい現象は2001年のオープン戦での出来事。マウンドに立っていたのは、2メートル8センチの長身から投げ下ろす最速102マイル(約164キロ)の速球を武器に、通算303勝をあげた偉大な左腕、ランディ・ジョンソン(当時ダイヤモンドバックス)だ。
この試合、“ビッグ・ユニット”の愛称で人気を呼んだ速球王の投げた球は低空飛行をしてきた鳩に直撃! さすがというか、やはりというべきか、鳩は即死してしまった。投球自体はノーカウントになったが、鳩を死なせてしまったショックからか、その日のジョンソンは相手打線に打ち込まれてしまった。
鳥と投手にまつわる不運な事件は他にもある。有名なエピソードは、1983年8月4日、カナダのオンタリオ州トロントにある世界初の開閉式ドーム球場、スカイドーム(現ロジャーズ・センター)で起きた逮捕劇だ。
スカイドームは北米湖のひとつ、オンタリオ湖に面しているため、カモメがよく飛んでくる球場だ。そのカモメが悲劇の的になった。ヤンキースのデーヴ・ウインフィールドがイニング中にキャッチボールをしていたところ、ボールがカモメに直撃。当たりどころが悪かったのか、カモメは死んでしまった。
そしてこの日の試合後、ウインフィールドはトロント警察に逮捕され、動物虐待という理由で罰金500カナダドルの支払いも命じられた。翌日、カモメを殺したのは意図的ではなかったことが認められて無罪になったが、キャッチボールをしていてこんな散々な目にあうとは予想もしていなかっただろう。
死んだカモメも不幸だが、ウインフィールドにとっても不幸としかいえない出来事だった。
今回のKoboパーク宮城の試合は、鳥による中断で流れが変わったことで、「楽天の幸運の鳥」といわれた。だが、運を呼ぶどころか、実際に鳥のおかげ(せい?)で勝敗が決まった試合もある。2009年6月9日、プログレッシブ・フィールド行われたインディアンズ対ロイヤルズの一戦だ。
試合は延長戦に突入し、10回裏、無死一、二塁のチャンスで、インディアンズの秋信守が放った打球はセンターへ。鋭い打球だったため、そのまま捕ってバックホームすれば、本塁でクロスプレーになるはずだった。
ところが、センター前には100羽近くのカモメが羽を休めていたことでアクシデントが起きた。飛んできた打球に驚いたカモメが一斉に飛び立ったため、センターがボールを見失ってしまったのだ。この一打でインディアンズはサヨナラ勝ち。ロイヤルズにとっては不幸のカモメになってしまった。
こうしたエピソードは、野外でプレーするからこそ起きるもの。ドーム球場での快適な観戦も捨てがたいが、やはりたまには太陽や夜空のもと、自然とともに野球を楽しむのも一興だ。
(オグマナオト)