2018年シーズンは早くも30試合前後を消化。それぞれ好不調の波はあるが、現時点での各チームにおける「不安=穴」と「希望=光」が見えつつある。セ・リーグ後編の今回は、巨人、中日、ヤクルトの「光」と「穴」をチェックしてみたい。
シーズン序盤は陽岱鋼の死球による戦線離脱、一発が出ないゲレーロ、菅野智之や田口麗斗の乱調など、まさかの「穴」だらけだった巨人。
しかし、4月20日から30日までの8連勝でチーム状態は一気に好転。とくに打線で「光」が目立ってきた。
4月14日の広島戦で、ジョンソンから放ったレフトへの一発をきっかけに、そこから7本塁打をマークしているゲレーロ。打率も3割台をキープしており、4番の務めをしっかり果たしている。
そして、大方の予想を上回る覚醒で驚かせ、3割を楽に超える打率をマークする小林誠司と岡本和真の活躍も見逃せない。ここ2年、2割そこそこの打率しか残せていなかった小林、大器と謳われつつ昨季までは殻を破れなかった岡本がこのまま打ち続けるようだと、他球団にとって脅威だ。昨季、リーグ4位に終わったチーム得点は、5月7日の時点で1位と、その効果は数字に現れている。
投手陣も本来のペースを取り戻してきており、巨人の好調はまだまだ続きそう。11年ぶりのBクラス(4位)に終わった昨季だったが、Aクラス復帰の可能性が高まっている。
中日の「光」といえば、松坂大輔だろう。4月5日の巨人戦に初登板すると5回3失点(自責2)、19日の阪神戦は7回2失点(自責1)と粘りのピッチングを見せた。いずれも打線の援護がなく敗戦投手となってしまったが、3試合目となった30日のDeNA戦は、6回1失点(自責1)で待望の日本球界復帰後初勝利を記録した。
規定投球回には到達していないが、防御率は2.00。中日の先発投手陣の中では、ここまで6試合に登板し3勝を挙げているガルシアに次ぐ安定感と言っていい。
ストレートの最速は147キロをマークするなど、腕がしっかり振れており、ソフトバンク時代に悩まされ続けた肩の不安は見られない。現状は、大事を取って、先発するごとに一度登録抹消し、しっかりと間隔をあけて次回の登板に備える、という調整をしている。ただ、5月のパフォーマンスや肩の状態次第では、ローテーション入りの可能性も出てきそうだ。
また、打撃ではアルモンテとモヤも「光」だ。アルモンテは開幕から主に「3番・左翼」で出場し、打率.353のハイアベレージを誇っている。一方のモヤは4月20日に1軍登録され、そこから5月5日までの13試合で打率.385をマーク。この2人の活躍が、日本人選手のパフォーマンスアップを引き出すようだと中日の一気の浮上もありえる。
(※外国人の1軍登録枠の関係で、モヤは6日に出場登録を抹消されている)
シーズン序盤は奮闘していたヤクルト。しかし、4月18日に広島に敗れ、借金生活に突入すると最下位まで一気に転落。交流戦までに2ケタの借金を抱えそうな雰囲気だ。このままだと、ヤクルトファンは「バレンティンと山田哲人の一発だけが楽しみ」という寂しいシーズンになりかねない。
昨年、満足に働けなかった川端慎吾や畠山和洋、雄平の故障が癒え、さらに青木宣親がメジャーから帰還。打線はかなりの破壊力が想定されたが、川端は打率1割台、畠山は2軍落ち、青木も2割台中盤と期待通りの活躍ができていないのが実情。さらに、4点台中盤の防御率を記録しているように、投手陣も打ち込まれている。
その中で「光」を見出すなら、投手ではブキャナンか。昨季は6勝13敗と大きく負け越したが、今季は5月4日までの6試合をすべて自責点2以下に抑え、3勝1敗、防御率1.43。先発投手の中で孤軍奮闘の活躍を見せている。
打撃では西浦直亨の成長が頼もしい。入団以来、過去4年間で3割を超えたことは一度もなかったが、5月初旬で打率.315。その後は.299と3割を切ったが、規定打席到達ならベストテン入りを狙える結果を出している。
(※成績は5月7日現在)
文=藤山剣(ふじやま・けん)