2年がかりの不敗神話から急失速だ。バンデンハークは、シーズン途中加入した昨季から今季の5月10日にかけて、14連勝をマーク。日本デビュー以来23戦負けなしが続くも、5月17日の日本ハム戦でついに黒星を喫した。
その後2試合に登板し、5月31日の中日戦を最後に登録抹消。「疲労のため」というのが理由らしいが、どうやら肩やヒジなどの特定の箇所に不調があるわけではなく、体全体の疲労感が抜けないとのこと。
6月下旬に一度は50メートル間のキャッチボールを再開するも、「寝違えたような痛み」のため再びトーンダウン。そのまま前半戦に1軍のマウンドに立つことはなかった。
とはいえ、トーンダウンとほぼ同時に2019年までの契約延長を発表したのは、球団戦略として非常にしたたかな印象を与える。もしかしたら、今シーズン中は無理して復帰させないのかも。
クローザーのサファテはリーグトップの27セーブを挙げる一方で5敗を喫するなど、例年以上に波が大きい。今季から加入のスアレスはセットアッパーに定着。昨季の今頃に無双していたバリオスは、ほぼ活躍できていない。野手で唯一の助っ人・カニザレスは存在感を見せることなく前半戦を終えた。
チーム全体の評価としては“まずまずです”が妥当か。
この連載でついに、最高評価の「たいへんよくできました」を送る球団が現れた。その球団とは、打倒ソフトバンクに向けバク進中の日本ハムだ。
来日2年目のレアードは、ますます日本球界に順応している。球宴にも初選出され、今や「すしポーズ」を知らぬ野球好きはほぼ皆無といっていいかもしれない。
昨季は前半戦終了時点で15本塁打を放つ一方、打率は2割に届かず。一発はあるが粗い打撃が課題になっていた。それが今季はすでに昨季を大きく超える25本塁打をマーク。殊勲打が多く、7月10日のロッテ戦ではチームタイ記録の14連勝に導くサヨナラ弾を放っている。
強肩を生かした三塁守備も安定しており、ファンからは「最強助っ人」との声もちらほら。仮にチームが逆転優勝を果たすことがあれば、その声は大きくなることだろう。
レアードとともに球宴に選出されたのが、リリーフで活躍する新助っ人・マーティン。開幕してしばらくはセットアッパーを務めていたが、増井浩俊の不調もあって交流戦終盤からはクローザーに転身。
ますますプレッシャーのかかるポジションになっても、ほぼ失点を与えない安定した仕事ぶりを見せている。
マーティンと同じく来日1年目のバースは先発・リリーフの両輪で奮闘。「アイアム・イクメンドーサ」の鉄板ギャグを持つメンドーサも変わらず、先発ローテーションの一角を占める。
4人全員が助っ人としての役割を十分に果たす日本ハムには、やはり“たいへんよくできました”の評価を送りたい。
オープン戦序盤に色んな意味で話題をさらったのが、ロッテのナバーロだ。
2月20日の中日との初戦でいきなり初打席初アーチを放つと、翌21日の日本ハム戦でもバックスクリーン直撃の一発。2試合連続本塁打をマークし、韓国球界でシーズン48本塁打を放った実力の片りんを見せた。
ただ、衝撃はこれで終わらなかった。21日の試合終了後、まさかまさかの現行犯逮捕。実弾を所持していたというから、驚きだ。あるいは、同じ理由で逮捕されたマキシモ・ネルソン(当時、中日)のことを思い出した人もいるかもしれない。ナバーロには開幕から4週間の出場停止と制裁金の処分が下された。
4月23日から再び1軍で出場しているが、打率.242、10本塁打、OPS.774は期待値から比べるとやや平凡。特大アーチやアクロバティックな守備は時折見せるも、どちらかといえば粗っぽさが目立つ。後半戦の爆発に期待しよう。
来日3年目のデスパイネは主砲として活躍、日本球界3球団目のキャリアとなるスタンリッジは先発としてまずまずの成績。こちらのふたりはほぼ計算通りだ。一方でイ・デウンとチェン・グァンユウの昨季頑張ったふたりは揃って低調。これ以上首位戦線に離されないためにも、彼らの奮起も促したい。
よって、チーム全体としては“がんばりましょう”だ。
文=加賀一輝(かが・いっき)