中畑清前監督が在任中の4年間に築いた資産は少なくない。その象徴は、今や日本を代表する4番打者に限りなく近づいている筒香嘉智だ。そして、現在は戦線離脱中のロペス、またなんといっても昨年新人王を獲得した山崎康晃。山崎康はハマの小さな守護神として確立している。
当然、現在の主力選手は中畑前監督政権によって培われたもの。では、ラミレス監督によって好調をキープしてきた2016年前半は、昨年と何が違うのか。
ラミレス監督が自ら交渉権のクジを引き当てて獲得した、今年のドライチルーキー・今永昇太投手への思い入れはただならぬものがあるに違いない。序盤は勝ち運に恵まれなかったものの、5勝を挙げ、堅実なピッチングでチーム自慢の防御率に大きく貢献している。6月18日の楽天戦では4回4失点で降板し、2軍降格。疲労がたまり調整が必要となったが、早く1軍に戻って新人王争いに食い込んでもらいたい。
ラミレス監督の引き出した大きな成果は戸柱恭孝の正捕手抜擢だろう。今永と同じルーキーだが、ここまでの活躍は誰も予想できていなかったのではないだろうか? リード、捕球、コリジョンルールへの対応など、バッティングに突出した成績がなくとも、十分に評価できる働きをみせている。低いチーム防御率をキープしているのは戸柱捕手の功績も少なくない。
正直、ラミレス監督も現在の得点力の低さには、頭を抱えているに違いない。これにはいくつか想定外だったことがある。まずはなんといっても新助っ人外人の不調が挙げられる。期待されたロマックは、まったく泣かず飛ばずの状態。ついにラミレス監督も「我慢の限界」とコメントしたほどだ。そこへ投入されたのが新外国人のエレラだが、真価はまだ発揮されていない。
スタメン定着とまでは至っていないが、ケガで離脱のロペスの穴を埋めるべく宮崎敏郎も気を吐いている。控え選手の活躍は前政権ではあまりなかったことだ。ここからは投手陣の頑張りに応え、打線の奮起が期待されるラミレスDeNA。マシンガン打線復活ならCSは当確だ。
文=元井靖行(もとい・やすゆき)