下馬評通り、2017年のセンバツを制し“春の日本一”に輝いた大阪桐蔭。まさに「史上最強」を証明するかのごとく、圧倒的な力を見せつけた。
この夏は春夏連覇が期待されるが、これまでの敗戦パターンを元にあえて「大阪桐蔭が負けるとき」=「大阪桐蔭の倒し方」を探ってみたい。夏に大阪桐蔭を倒しそうなチームはどこだ!?
前回の本特集では大阪桐蔭の甲子園での敗戦パターンを分析し、「プロに進むレベルのエースが完投すること」が、勝利への第一条件とした。しかし、夏の大阪大会では継投含みでもかなりの乱打戦になることがある。
たとえば、昨夏の準々決勝からのスコアを見てみたい。
■2017年夏・準々決勝
大阪桐蔭 15対9 興國
■2017年夏・準決勝
大阪桐蔭 8対4 履正社
■2017年夏・決勝
大阪桐蔭 10対8 大冠
打線の奮闘で甲子園行きを決めたが、点を取って取られての点取り合戦に持ち込まれている。近年は履正社との2強を形成しており、全国的には大阪桐蔭と履正社がどこで当たるかが注目を集めるが、そこは「激戦区・大阪」。今夏は記念の100回大会のため大阪は南北2大会に分かれるとはいえ、大阪桐蔭の首をまさに虎視眈々と狙う高校が揃っている。
さらに大阪を勝ち抜くには過酷な連戦が待ち受けている。昨夏はエース・徳山壮磨(現・早稲田大)らがおり、ある程度、連投は避けられる状況だったが、準決勝の興國戦では柿木蓮が6回7失点、根尾昂が3回2失点の乱調だった。やはり夏の暑さと最後の夏の「打倒・大阪桐蔭ブースト」は脅威だろう。
さらに2010年以降の夏の大阪大会での敗戦を探ると、またすごいデータがでてきた。
■2010年・3回戦
大阪桐蔭 2対5 桜宮
■2011年・決勝
大阪桐蔭 6対7 東大阪大柏原
■2015年・準々決勝
大阪桐蔭 2対3 大阪偕星学園
■2016年3回戦
大阪桐蔭 1対2 関大北陽
この4つの敗戦のうち、乱打戦となった東大阪大柏原戦を除けば、先発投手に完投され、破れている。やはり「完投」がカギを握るのは間違いなさそうだ。
夏に限定すれば、2010年代において大阪桐蔭に5点以上を入れられて勝利を収めたのは東大阪大柏原のみ。他はすべて2失点以内に抑えての勝利だった。
全国に目を向けて大阪桐蔭を倒せる高校を探ってみたい。まず候補に挙がるのは三重。先のセンバツの準決勝では延長12回、2対3で敗れたが、定本拓真が奮闘し、9回表まで1点リード。12回完投で敗戦したが、9回まで2失点。まったく互角の戦いだった。
2014年夏の甲子園決勝でも三重は3対4で惜しくも敗戦している。世代は入れ替わっているが、あと一歩の好相性だ。
センバツの決勝で、2対5で敗れた智辯和歌山も逆転含み。昨秋の近畿大会決勝は0対1のロースコアで惜敗。3年生の平田龍輝、2年生の池田陽佑の継投で「1失点」に抑えた。2017年秋以降の「現在の大阪桐蔭」が最も打ちあぐねた試合だ。
史上最強の大阪桐蔭に勝つにはとにかく投手力。抑えなければ勝てない。夏の大阪大会は対戦相手の投手陣に注目してみたい。
文=落合初春(おちあい・もとはる)