『野球太郎』が中日の補強ポイントに挙げたのは「即戦力投手」、「右打ちの二遊間」、「即戦力リリーフ」、「地元育ちの投手」、「雰囲気を変える元気印」だった。「即戦力投手」から順に指名結果を見ていこう。
「即戦力投手」では、DeNAとの競合の末に柳裕也(明治大=写真)を1位で獲得。また、丸山泰資(東海大)を6位で指名した。
柳の武器は何といってもカーブ。ストレートも最速150キロとスピードがあるが、それ以上に「ストライクを取れてカウントを有利にできるカーブ」が魅力だ。
また、コントロールもよく、柳で先発ローテーションの一角は埋まると期待されている。侍ジャパン大学代表では主将を務めるなどリーダーシップも抜群。将来は投手陣のリーダーに!
丸山は最速151キロのストレートに加え、縦に落ちるスライダー、カーブ、フォークを操る。昨春には首都大学リーグで史上2人目の完全試合を達成。全国大会でも通算10回1/3を投げ防御率0.00。今春までは「ドラ1位候補」と評価されていた。
だが、今年は右肩の炎症に苦しみ、思うような投球ができず。それでも、体調が万全になれば、即戦力としての力は十分にある。
「右打ちの二遊間」では、高校生の石垣雅海(酒田南高)を3位指名。高校通算37本塁打の長距離砲でありながら、50メートル走5秒9と足もあるのが魅力。元々は外野手だったので、プロでは外野に戻る可能性もある。
即戦力投手として先述した柳は、おそらく先発での起用になると思われる。丸山も先発タイプだが、リーグ戦ではリリーフ登板も経験しているため、体調が万全ならリリーフとしての起用もあるかもしれない。
地元の選手も指名するイメージが強い中日。今年は5位で藤嶋健人(東邦高)を指名。打者としての力も確かなため、外野手として指名を検討する球団もあったが、中日は投手として指名。最速146キロのストレートに加え、投げる投手が少ないナックルカーブを操れる部分を評価したようだ。
中日といえばここ数年、「暗いチーム」というイメージが定着してしまったが、「雰囲気を変える元気印」という点でも先述した藤嶋がピッタリとハマる。今夏の甲子園では元気いっぱいに声を張り上げチームを鼓舞。主将としてチームを盛り上げた。
最大点差7点差をひっくり返しての大逆転サヨナラ勝ちを決めた八戸学院光星高戦では、敗色濃厚だった9回裏、藤嶋はチームに檄を飛ばしていた。それが実っての大逆転勝利だった。
サヨナラの瞬間、テレビの画面ではベンチで選手、マネージャー達と思いっきり喜ぶ藤嶋の姿が映し出された。とても気持ちのいいシーンだった。このポジティブさをプロでも貫き通してもらいたいと強く思う。
【総合評価】80点
今季は19年ぶりのリーグ最下位に沈み、4年連続Bクラスという苦しいシーズンを送った中日。
先発陣を見てもエースの大野雄大が7勝止まり。2ケタ勝利の投手は1人もいなかった。それだけに、即戦力投手の柳を1位指名できたのは大きい。順調にいけば先発ローテーションの一角が埋まるはずだ。
また丸山も本来の投球ができれば即戦力として計算できる。4位で指名した笠原祥太郎(新潟医療福祉大)は先発、中継ぎどちらでも使えるので、早くからの1軍登板が望まれる。
野手では2位で即戦力遊撃手の京田陽太(日本大)を指名できたのが大きい。堅実な守備が魅力な上、50メートルは5秒9と脚力もある。リーグ戦で盗塁王を獲得した俊足だ。今季は堂上直倫が遊撃手のレギュラーを掴んだが、状況によっては京田を遊撃、堂上を二塁で起用する場面もあるかもしれない。
将来性という点では石垣、藤嶋と成長が楽しみな選手を指名できた。即戦力、将来性ともに上々のドラフトになった。
文=山岸健人(やまぎし・けんと)