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【2017年を総ざらい! 復活編】岩瀬仁紀(中日)、鳥谷敬(阪神)…。歴戦の勇者は死なず!

【2017年を総ざらい! 復活編】岩瀬仁紀(中日)、鳥谷敬(阪神)…。歴戦の勇者は死なず!

 最近はトレーニングの進化もあって、一昔前より選手寿命が伸びている感のあるプロ野球。そういう流れもあって「もうこのまま終わってしまうのか……」という窮地から鮮やかに復活してくる選手が増えているのかもしれない。今季、崖っぷちから見事に立ち直った選手をピックアップしよう。

選手生命の危機から見事にカムバックした岩瀬


 どん底からの復活を遂げた選手を讃える表彰に「カムバック賞」というのがある。ただ、ちょっとやそっとのV字回復では対象とならないため、近年は「該当者なし」の場合も多い。今季、2年ぶりとなった「カムバック賞」を受賞したのが岩瀬仁紀(中日)だ。

 岩瀬は1999年のデビューから2013年まで、15年連続で50試合以上に登板してきた。アメリカでは、どれだけ投げても壊れない投手のことをラバー・アーム(ゴムの腕)と称するが、まさにメイド・イン・ジャパンとしては最高のラバー・アームが岩瀬だった。

 しかし、そのラバー・アームも勤続疲労には勝てず。2014年途中に左ヒジの不調で2軍落ちすると、翌2015年は1軍登板なし。2016年も15試合の登板に終わった。今季開幕時点では42歳。「岩瀬はもうそろそろ……」という空気がファンの中でもあった。

 しかし、そんな追い詰められたところからの劇的復活で、今季は50試合に登板。さすがとしか言いようがない。そして、8月6日には歴代最多となる950試合登板を達成。かつてのクローザーという役目ではなく、防御率も4.79と、悪くても2点台だった全盛期には及ばないが、それでもマウンドに立ち続ける姿に勇気をもらったファンも多いはず。

 ちなみに、カムバック賞の賞金は50万円。岩瀬は、歴代最多登板に対する「コミッショナー特別表彰」にも選ばれており、こちらも賞金50万円。合わせて100万円のボーナスを手にしたのだった。

虎のリーダー鳥谷が鮮やかに復活


 野手では、昨季の大スランプから見事に立ち直った鳥谷敬(阪神)を挙げたい。

 球界を代表する「走攻守に優れた選手」の鳥谷は、2015年1月に5年という長期契約を結んでいることから、球団としてもまだまだ衰えることなど考えていなかったはずだ。

 ところが、2016年は深刻なスランプに陥ってしまう。シーズン序盤からバットは湿りがちで、守備でも気の入っていない(ように見える)凡ミスが目についた。7月24日にはついにスタメン落ちし、連続フルイニング出場が667試合でストップ。シーズン打率は.236と前年の.281から急降下していた。

 その不振ぶりから、今春のキャンプイン時点では、遊撃には北條史也を据え、三塁は新外国人のキャンベルがレギュラー候補。鳥谷はそのサブという厳しい位置づけを余儀なくされた。しかし、キャンベルがキャンプで故障。そこで開幕から「7番・三塁」でスタメン起用されると、本来のパフォーマンスを発揮し続け、シーズンを通してポジションを死守する。

 その結果、2年ぶりにオールスターゲームにも出場し、三塁手部門でゴールデン・グラブ賞を受賞した。シーズン打率も.293と回復。崖っぷちから見事に立ち直った。


オリックスの実力者たちが相次いで復調


 2014年オフ、オリックスは日本人選手、外国人選手を問わず大補強を敢行。ブルゾンちえみがまだブレイクする前だったが、その総額は、彼女の持ちネタと同じ「35億」とも囁かれた。

 ところが、そのタイミングで加入したメジャー帰りの中島宏之、日本ハムからFA移籍の小谷野栄一、そしてFA宣言後に残留した金子千尋らが、2015年、2016年と相次いで不振。当然ながらチームは低迷してしまう。

 しかし、今季は中島が124試合、小谷野が130試合と、両選手とも移籍後最多試合出場を記録。中島が打率.285、小谷野が.277と及第点の結果を残した。金子も2015年と2016年は故障もあって2年続けて7勝止まりだったのが、今季は12勝。本来のポテンシャルからすれば「これくらいの成績は当然の選手たち」ということを、あらためて知らしめる2017年となった。

 今季のチーム順位は、2015年の5位(借金19)、2016年の6位(借金26)からの4位(借金16)なので、最悪の状況は脱したと見ていいのかも。投手では山岡泰輔や黒木優太といった若手が現れ、野手では年間を通して出場できれば計算が立つであろう吉田正尚、ロメロ、マレーロなど、戦力は整いつつある。ここに今季復活を果たした実力者たちが噛み合えば、来季のオリックスは侮れない存在となるに違いない。


文=藤山剣(ふじやま・けん)

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