32校中、主将がスタメンに名を連ねたのは26校。残りの6校はあとで触れるとして、守備位置別の人数は以下の通り。
投手:3人
捕手:1人
一塁手:3人
二塁手:2人
三塁手:2人
遊撃手:7人
左翼手:1人
中堅手:2人
右翼手:5人
最も多いのは、内野の花形でもある遊撃手で7人。野球センスに優れた選手が多いイメージはあるが、チームをまとめるにも適したポジションなのかもしれない。
それに対して、投手をリードし、守備陣への指示も出す「現場監督」の捕手で主将を務めるのは、意外にも大阪桐蔭の福井章吾ひとり。ただ、実はこの福井は、入部当初こそ捕手だったが、1年前に内野手に転向しており、背番号は3を背負っている。しかし、2月に正捕手だった岩本久重が故障してしまい、今セバンツでは急遽マスクをかぶっているのが実情。捕手の主将は少数派になりつつあるのかもしれない。
次に、打順別にまとめるとこうなる。
1番:4人
2番:3人
3番:2人
4番:9人
5番:0人
6番:0人
7番:2人
8番:5人
9番:1人
やはり中心打者である4番が9人と最多。それも含めて1番から4番で18人と、やはり上位を打つ主将が過半数を占める。惜しくも2回戦敗退となった早稲田実の主将・清宮幸太郎も3番だった。
ちなみに今センバツで、主将でありエースで4番という真の大黒柱は、21世紀枠で出場した不来方の小比類巻圭汰だけ。
初戦で東海大会優勝の強豪・静岡と対戦し3対12で敗れてしまったが、最後までひとりでマウンドを守り、1回表の攻撃では、静岡のエース・池谷蒼大から二塁打を放ち先制点を叩き出すなど、部員10人で出場したチームを引っ張った。
一方で、全32校のうち、初戦でスタメンに名前がなかった主将は6人。そのなかで、背番号が1ケタなのは健大高崎の湯浅大のみ。右手首骨折の影響で本調子でない湯浅は、背番号6ではあるがベンチスタートとなった。
なお、九州代表4校のうち、東海大福岡、福大大濠、熊本工の3校の主将が2ケタ背番号だ。
これは、九州のトレンドというわけではなく、たとえば、福大大濠は監督の方針によりレギュラー以外の選手が主将を務めることになっていたり、東海大福岡・主将の大久保朋は、昨年の夏、主将を任された直後に筋断裂により半年間の戦線離脱を余儀なくされ、控え選手回っているなど、各校によってその背景はさまざま。
ただ、どんな事情があれ、主将を任されている選手は、リーダーシップ、人柄等、チームに欠くことのできない存在であることは言うまでもない。
そして、控え選手の主将ならではのメリットもある。攻撃時にはベースコーチとしてグラウンドで指示を送り、守備時のピンチでは伝令として監督のメッセージをマウンドに届ける、というプロ野球でいうところの走塁コーチと投手コーチをミックスしたような役割を果たすことができるのだ。
これまで、多くの野球ファンに親しまれている名作マンガがあるが、『ドカベン』では岩鬼正美、『タッチ』では松平孝太郎と主人公以外が主将だった。
チームの中で主将がどういった存在なのか。そこにチームカラーが表れるのかもしれない。
文=藤山剣(ふじやま・けん)