ペナントレースのみならずオープン戦、交流戦、おまけにウエスタンリーグとすべてのカテゴリーで黒星を積み重ね、「完全最下位」という不名誉な記録を打ち立ててしまった今季のオリックス。
投手に目を向けると、2ケタ勝利者が1人も出なかった先発陣はやや不安だが、リリーフ陣は塚原頌平を中心に若手で底上げができた。後半戦でつかんだいいイメージを来季に生かせれば、強力なブルペンを形成できるだろう。
一方で野手は、糸井嘉男が復活。35歳にして盗塁王を獲得した。終盤にはパンチ力が自慢の吉田正尚が台頭。またT-岡田や中島宏之もかつての輝きを取り戻し始めており、ここにきて「猛牛打線」を思わせる強打のタレントが揃ってきた。
エース・金子千尋が2年連続で1ケタ勝利に終わったことで、先発の柱が揺らいでいる。幸か不幸か、今年のドラフト候補選手にはチームの未来を任せられる投手の逸材が多いので、「世代交代のドラフト」と位置づけて指名をしていきたい。
若手が顔をのぞかせている野手陣だが、伸び悩みを感じる選手もチラホラいるのでカンフル剤を打っておきたいところ。
金子に代わるエースという意味では、名実ともに抜群の田中正義(創価大=写真)を獲得できれば即解決するだろう。もしクジに外れた場合は、昨秋から急成長を遂げて大学日本代表に駆け上がった佐々木千隼(桜美林大=写真)を狙ってほしい。
また園部聡、奥浪鏡といった若手野手と競わせたいのは、名前も勇ましいスラッガー・松本桃太郎(仙台大)だ。
文=森田真悟(もりた・しんご)