高校生野手ですこぶる前評判が高いのは横浜で1年夏からレギュラーを張る増田珠。走攻守にハイレベルなプレーを見せており、この夏は神奈川大会で4戦連続を含む5本塁打を記録している。
「横浜高校→DeNA」の黄金ルートもあるが、DeNAは筒香嘉智、桑原将志がまだ若く、出場機会で考えるといまひとつ。外野の年齢層で考えるとここは巨人をオススメしたい。
巨人には陽岱鋼、長野久義がいるが、両者ともに30代で遅かれ早かれ衰えはくる。さらにホープであるはずの中井大介や石川慎吾も煮え切らない成績で新しい起爆剤が必要。鹿取義隆氏が新GMに就任し、動きが必要なこの秋、変革の象徴にするならば増田だ。
この夏もスラッガーとしての役割を果たしたのは猪田和希。兵庫大会でも本塁打を連発し、準決勝、決勝では試合を決める一発を放った。準決勝ではウインク球場(姫路球場)でフライ性の当たりがそのままスタンドイン。決勝では明石トーカロ球場で流したライナーが右中間に突き刺さった。どちらも観客のどよめきが徐々に大きくなっていく「伸び弾」。あらためて進化を感じさせた。
プロでも打撃は楽しみだが、問題はポジション。もともとは外野手だったが、最上級生になり捕手にコンバート。強肩を生かした転向だけあって、肩はかなり上位だが捕手としての経験は浅く、“捕手らしい捕手らしさ”はまだ見当たらない。
これをどう捉えるか。強打の捕手として育てるのか、スラッガーとして別ポジションで育てるのか。外野だけではなく、一塁、三塁でも可能性がありそうだ。
そこで世代交代が喫緊の課題のヤクルトをオススメしたい。打球の質からもパ・リーグの広い球場に対応するには時間がかかりそうだが、神宮球場ならば逆方向のスタンドインもある。風に乗せる打撃がうまいので屋外の球場ならば、早くから数字を伸ばすことができるだろう。
センバツでも快投を見せたスタミナタンク。福岡大会では決勝で敗れたが、最速146キロのストレート、スライダー、カーブ、チェンジアップを巧みに操り、総合力はかなり高い。
ただし、弱点を挙げるならばエッジがない。昨秋の九州大会での3連続完封など実績と見どころは十分だが、プロでは「コレ」という武器が必要になるはず。
完成度ではセ・リーグ感があるが、エッジを付けるならパ・リーグをオススメしたい。5年後の編成を考えると地元・ソフトバンクで高卒投手たちとしのぎを削るのもありだ。
文=落合初春(おちあい・もとはる)