オープン戦も始まり、開幕1軍への生き残りをかけた争いは日増しに激しさを増している。そのなかで根尾昂(中日)、藤原恭大(ロッテ)ら高卒ルーキーたちも話題を集めている。ちょうど1年前の根尾と藤原は大阪桐蔭高で「センバツ連覇」を目指し、トレーニングを積んでいたことを考えると時の流れは早い。
そんな彼らと同じように、この4月で新3年生となる高校球児たちは今春のセンバツ、もしくは最後の夏、さらにはドラフト会議へ向け日々練習を行っている。
そこで今回は、本誌『野球太郎 No.029 2018ドラフト総決算&2019大展号』に掲載された特集「2019年ドラフト候補名鑑」での評価をもとに、『野球太郎』編集部が太鼓判を押す高校生のドラフト候補を紹介しよう。
MLBへと羽ばたいた2人、大谷翔平(エンゼルス)と菊池雄星(マリナーズ)を生んだ花巻東高のある岩手から、また怪物が生まれるかもしれない。大船渡高の佐々木朗希だ。
これまで甲子園をはじめとした全国大会への出場経験はない。今春のセンバツ出場も逃しており、チャンスは最後の夏だけ。それでも早くから多くの球団がマークし、その存在は全国に知れ渡っている。
本誌『野球太郎』でも、いの一番に紹介。プロ注目度は最上級の「S」だ。昨年のドラフト会議直後の見立てではあるが、この冬に故障などの情報も入っておらず、トップクラスの評価となっているのは間違いない。今年のドラフト会議において、複数球団が競合するであろう逸材だ。
佐々木は150キロを超えるストレートに加え、フォークボールやスライダーなどの変化球も操る。一見、線が細く見えるが、189センチ81キロと体は大きい。本誌でも「平成最後の、そして新年号最初の“怪物”」と表現されている。それだけスケールが大きい存在ということだ。
約8カ月後に開催されるドラフト会議の目玉。今から名前を覚えておきたい。
大谷、菊池を生んだ岩手が佐々木なら、松井秀喜(元ヤンキースほか)を生んだ石川には奥川恭伸(星稜高、松井秀喜は同校OB)がいる。
本誌でも佐々木の次に取り上げられており、プロ注目度は「A」である。昨年は春夏の甲子園に出場し、秋の明治神宮大会では準優勝。甲子園初優勝を目指す強豪をエースとして牽引する。
球速こそ佐々木に劣るものの安定した投球を見せており、プロからの評価も高い。140キロ台中盤のストレートをコンスタントに投げ、スライダーのキレも抜群。今春のセンバツ出場も決まっており、大きな注目を集めている。
千葉の匝瑳リトルシニア時代から注目を集めていた及川雅貴(横浜高)もこの4月で3年生となる。本誌での評価は奥川とならんで「A」だ。
左腕で最速150キロを超える素材は魅力的。ただその一方で、制球面で不安が残る。秋の関東大会では四球から崩れ、大敗の一因となってしまった。今春のセンバツでは背番号「1」を背負い、3度目の聖地で悲願の優勝を目指す。
昨夏、彗星のごとく全国の舞台に現れたのが西純矢(創志学園高)。同じくプロ注目度は「A」。甲子園では初戦の創成館高戦で完封勝ち、16三振を奪う圧倒的なパフォーマンスをやってのけた。
感情を爆発させるガッツポーズに投げ終えたあとに落ちるキャップ。まさしく鬼気迫る投球はファンを魅了する。最速150キロのストレートに縦のスライダーはどちらも空振りを奪うことのできる決め球だ。今春のセンバツは逃したが、最後の夏に甲子園に戻り、さらなる快投で評価を高めたい。
野手陣を見渡してみる。投手陣と比べると現時点で高評価される選手はさほど多くない。一昨年の清宮幸太郎(早稲田実→日本ハム)、昨年の根尾、藤原、小園海斗(報徳学園高→広島)らと比較できる対象が不在のなか、本誌が唯一「A」をつけた高校生野手が石川昂弥(東邦高)だ。
昨秋の石川は、エースでもあり主軸の「二刀流」としてプレー。しかし、現時点では高校通算39本塁打を放っている打力が注目され、野手としての評価が高い。185センチ81キロと体格もよく、飛距離は十分。ドラフト1位指名は難しいかもしれないが、スラッガー候補として中位、下位指名の可能性は十分にある。まずは今春の甲子園で結果を残したい。
ほかにも投手では井上広輝(日大三高)、野手では捕手の有馬諒(近江高)と東妻純平(智辯和歌山高)も評価されている。
今回、取り上げた選手たちはプロ志望届を提出すれば、ドラフトで指名されるであろう逸材たちだ。しかし、これはあくまで昨秋の段階での評価。一冬を超えて、成長した選手もたくさんいるだろう。
まずはセンバツでドラフト候補生たちの戦いを見守りたい。
(※2月25日に発売した『野球太郎 No.030 プロ野球選手名鑑+ドラフト候補名鑑2019』での評価は後日掲載!)
文=勝田聡(かつた・さとし)