金本知憲監督は、現段階でのレギュラーは、ゴメス、福留孝介、鳥谷敬の3名だと明言し、後のポジションはすべて白紙だと選手たちに告げた。
外野の一角を任される福留は、阪神入団以降、度重なるケガに悩まされたが、ようやく昨年復調の兆しを見せ、「首位打者を狙う!」と意気込む。
キャンプインしてから俄然注目を浴びているのが、4年目のシーズンを迎える緒方凌介だ。小柄ながらパンチ力があり、ミートも上手く、金本監督に打撃フォームで修正するところがないと言わしめた逸材でもある。
2年目のシーズンを迎える江越大賀は、昨年の1軍経験が高山、緒方に対してはアドバンテージとしてある。バッティングは豪快さを残したまま、安定度を増せば飛躍が期待できるだろう。
20歳の若き大砲・横田慎太郎は、宜野座の1軍キャンプ初日から注目を浴びた。金本監督が3年で3割10本よりも、5〜6年かけて3割40本と、将来を期待するパワーヒッターだ。
◎打撃だけでなく守備力も良い外野手の必須条件
良い外野手の条件とは、打撃だけでなく、守備力も当然ついてまわる。
足が速い、肩が強いなど、潜在能力はあるに越したことはないが、大切なのは以下の3点だとよく言われる。
・捕球から送球までの素早さ
・正確にコントロールされたスローイング
・最短距離で打球到達点に向かう打球判断
これらは、いずれも一朝一夕で成せるものではなく、目的意識を持った繰り返しの練習と実戦経験でのみ得られるものだ。
こう考えると金本監督が福留に外野の一角を任せた意味が理解できる。
守りに関しての高山は未知数ではあるが、江越、緒方、横田に関しては、足が速く、肩が強いという潜在能力はあっても、上記3点については現段階では疑問符がついてしまう。
では、金本監督は今後の外野の布陣をどう考えているのであろうか。
先日、金本監督から掛布雅之2軍監督に依頼された件が興味深い。
掛布2軍監督が推す、昨年ドラフト6位の板山祐一郎は、高山と同様、安芸での注目株だ。
この板山にサードの守備も試して欲しいと言うのだ。
板山を外野で競わすことなく、将来サードで使えれば…。
ということは、金本監督の中で、3年から5年後を見据えた、外野の布陣がすでに見えたのではとも勘ぐれる。
高山、緒方、江越、横田そして板山は、いずれも強く振れる選手だ。
金本監督が理想とする選手たちが揃ってきた。3年後といわず、今年のタイガースはやっぱり面白い。
文=まろ麻呂
企業コンサルタントに携わった経験を活かし、子供のころから愛してやまない野球を、鋭い視点と深い洞察力で見つめる。「野球をよりわかりやすく、より面白く観るには!」をモットーに、日々書き綴っている。