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【プロ野球・体重差対決】李大浩(ソフトバンク)vs.岡田俊哉(中日)

 野球という競技の面白さの1つには色んな体格の選手がいることが挙げられる。体重で階級が分かれるボクシングなどの格闘技とは異なり、プロ野球はいわば無差別級。引き締まったボディを維持するトレーニングのプロから、ぜいたくのプロまでさまざまな選手が同じ土俵で戦うのだ。

 生まれ持った体をどう使うかは十人十色。今回、体重「差」に着目し、体を生かした特徴あるプレーをしている選手を紹介したい。

◎お腹につまった夢とパワー
李大浩(ソフトバンク・130キロ)



 アマチュア野球の考え方の1つに「重さ=パワー」というものがある。強豪校の高校生は、寮での食トレを課せられ、大量の米をかきこむ。中学野球の段階でも練習の合間におにぎりを食べたり、タッパーウェアに米をぎっしりと詰め込んだ「タッパ飯」をお弁当として用いたりするなど、体重の増加を目指した体づくり、体格のレベルアップに並々ならぬ情熱を注いでいる。

 その是非はともかく、そんな方程式を見事に証明しているのが、ソフトバンクの李大浩だ。公称194センチ130キロの恵体は球界最重量。幕内最軽量となる横綱・日馬富士が136キロなので、その体重は力士に肉薄するド迫力ボディだ。

 今でこそ、パワーヒッターとして認知された李大浩だが、2011年オフに来日した当初はファンの反応は辛らつ。韓国球界で三冠王も獲得した「アジアの大砲」に対し、そのお腹を見るや、日本の野球に対応できるキレはないのでは? と疑う人も多かった。 しかし、そんな心配(?)の声もナンノソノ。1年目から打点王を獲得し、その恵体にはみなぎるパワーが詰まっていることを、そして、“単なるデブ”の端くれではないことを結果で証明した。

 今シーズン前にはなんと肉体改造に走り、10キロの減量に成功した李大浩だが、その肉体改造には球団内外、そしてファンから「大丈夫か?」との不安が噴出。結果が出ない選手には、「絞れデブ」と容赦ない言葉が飛ぶ球界で、暗に「太った方がいい」と言われる稀有な選手だ。

(見た目もスッキリし、減量したと公言しているのに、プロフィールが変化しない球界の体質に触れるのは止めておこう)

◎野球は体重じゃない? モデル体型の好投手
岡田俊哉(中日・65キロ)



 李大浩がダイナマイトボディをフルに使う一方、軽い体をしなやかに使いこなす選手もいる。

 その筆頭が中日の左腕・岡田俊哉だ。投手では最軽量となる公称65キロ(身長は179センチ)の体は、まさに“読モ(読者モデル)体型”。スリムなジーンズを履いて街頭スナップに紛れ込んでも、野球好きじゃなければ絶対に気付かないレベルだ。

 強豪・智辯和歌山高から2009年にドラフト1位でプロ入り、プロ6年目ということを加味すると明らかに筋肉の付きにくい体質であることがわかる。

 しかし、岡田はその体をしなやかに使い、柔軟性のあるフォームを実現。一般的に体重が重い方が球速は出やすい、と言われているものの、140キロ台中盤を記録している。そのプレースタイルは細身界の星。体作りやウエイトを重視する野球界の定説の真逆を突き進む選手だ。

 もし李大浩と対決することになれば、その体重差はなんと65kg。体重丸々2倍の李大浩を岡田がどう切って取るのか、はたまた豪快なパワー弾が炸裂するのか。交流戦の中日vs.ソフトバンクで注目したい体重「格差」対決だ。


■プロフィール
落合初春(おちあい・もとはる)/1990年生まれ、広島県出身。編集者。大学時代から編集プロダクションで勤務し、野球や歴史の媒体制作に携わる。元プロレスレフェリー。

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