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「神ってる」だけじゃない! 「プロ野球流行語大賞2016」発表!!<上半期編>


 11月も残りあとわずか。師走に入り、年の暮れを感じさせる恒例行事といえば、毎年12月1日に発表される「新語・流行語大賞」だ。今年の野球界からは広島・鈴木誠也の活躍に端を発する「神ってる」が大賞候補としてノミネートされている。

 昨年も野球界からは「トリプルスリー」が大賞を受賞したわけだが、世間の反応は「なにそれ!?」「オジさんが選んでる賞だから……」といった反応が多かったのも事実。それと比べれば、今年の「神ってる」の浸透度は明らかに昨年以上。大賞受賞の可能性も高いのではないだろうか。

 だが、野球界を見渡せば、他にも印象に残った言葉、フレーズは数多い。そこで、「神ってる」以外の「2016年プロ野球界流行語」を勝手に10個選定。言葉から今年の球界を振り返ってみたい。まずは6月までの上半期編。

超変革


 阪神を変えてくれるはず! と期待が高かった金本知憲新監督。そのキャッチフレーズとしてキャンプ前からメディアで頻出したのがこの「超変革」。ここから派生し、「超〜」の見出しが『デイリースポーツ』中心に多かったのはいうまでもない。

 もちろん、阪神公式ページにも「超変革Webマガジン」なる特集ページが組まれ、「超変革」にまつわる選手の意気込みなどを聞いて盛りあげ続けた。

 結果としてペナント順位はまさかの4位。一方で、新人・高山俊を初め、北條史也、原口文仁ら若手の台頭が目立ったのも確か。「超変革」が本当に意味のあったキャッチフレーズだったのかどうかは、来年以降も含めて考えた方がいいだろう。そのときにはもう、忘れられた言葉になっているかもしれないが。


コリジョン(ルール)


 今季から導入された、本塁クロスプレーにおけるコリジョン(衝突)ルール。キャンプ中から、「これは問題になるぞ」「絶対にもめるぞ」と騒がれ、その不安がものの見事に的中した、という意味において、これほど情けないルール変更もないのではなかろうか。

 コリジョンで揉めるたびにメディアが取り上げ、ファンも紛糾。あるスポーツ紙は「もうコリゴリジョン」とお得意のダジャレで選手、ファンの不満を代弁していたのが印象深い。

 案の定というか、後半戦からは新ルールが適用。その結果、大きなトラブルは大幅に減った。その柔軟な対応を評価しつつも、シーズン中に解釈が変わっていいのか? という新たな問題も提起した。6月14日の広島対西武における「サヨナラ・コリジョン」に至ってはそんな映画のタイトルありそう、ということまで含めて味わい深い言葉だったのは間違いない。


まさかあのアライさんが…。


 広島・新井貴浩の2000本安打達成直前の4月23日、「まさかあのアライさんが…。」と書かれたTシャツを広島ナインが着て激励(?)したことが話題となった。

 ドラフト6位という低評価から叩き上げでここまでの高みに辿り着いたこと。後輩からもいじられる先輩・アライさんとしての側面が垣間見える点など、このワンフレーズだけでさまざまなことが読み取れるのがすばらしい。発案者が黒田博樹という点もまた味わい深い。今季の好調カープを象徴するシーンとしても外すことはできないだろう。

過去の自分に勝つことができた


 新人選手の活躍が多かった2016年。成績だけでなく、言葉でもファンを虜にしたのがDeNAの今永昇太だ。開幕当初はいいピッチングをしても打線の援護に恵まれず4連敗。その間も、「負けた投手の名前は残らない」「勝てる投手がいい投手」と、打てない打線を責めるのではなく、勝ち切れない自分の弱さについて味のあるコメント。

 だからこそ、5月6日にやっと手にしたプロ初勝利の際に出た言葉「過去の自分に勝つことができた」はファンの心を鷲掴み。あの達川光男も「色々新人のヒロイン聞きましたけど、物凄い頭良いピッチャーですね!」「流行語大賞になるんじゃないですか」と絶賛した。

 終わってみれば8勝9敗。来季以降、新エースとして更なる成績・数字が求められるのはもちろん、深いコメント力でDeNAの屋台骨を支える存在になってほしい。


最高でーす


 今年、大ブレイクした広島・鈴木誠也。「神ってる」での流行語大賞に期待がかかるが、厳密にいえばこの言葉、緒方孝市監督の口から生まれ、そこから世間に浸透していったもの。鈴木本人の言葉で盛んにメディアを賑わせたのは、むしろ「最高でーす」ではないだろうか。

 2試合連続でのサヨナラ弾、というまさに神懸ったプレーで呼ばれた6月18日のヒーローインタビューを「最高でーす」のワンフレーズだけで乗り切った鈴木。以降、すっかり「最高でーす」が彼の決め台詞になってしまった。が、元をただせば巨人・阿部慎之助のお馴染みのフレーズであることは野球ファンならご存じの通り。来季はぜひ、阿部にシーズンを通して活躍してもらい、本家「最高でーす」を響かせてほしい。


 今回はこの5つの言葉について。6月以降の言葉については<下半期編>でまとめたい。


文=オグマナオト

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