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【成功&失敗の法則】坂口智隆らパ・リーグからヤクルトへの移籍は◎、オリックスから阪神は不穏……

文=勝田聡

【成功&失敗の法則】坂口智隆らパ・リーグからヤクルトへの移籍は◎、オリックスから阪神は不穏……
 2月1日に春季キャンプが始まった。各選手たちは開幕レギュラー、1軍入りを目指して首脳陣に猛アピールをしている。なかでも今年から所属を変えた選手の意気込みは、そのほかの選手以上のものがあるだろう。

 そんな移籍選手たちの活躍が、吉と出るか凶と出るかは蓋を開けなければもちろんわからない。しかし、過去のケースから傾向を探ることはできる。今回は移籍選手の成功と失敗の法則を導いてみる。

パ・リーグからヤクルトへの移籍は成功率が高い!


 一昨年の最下位から2位へと躍進したヤクルト。このオフは衣笠剛球団社長が「FA戦線に参戦しない」と明言していたこともあり、丸佳浩(広島→巨人)、浅村栄斗(西武→楽天)らの争奪戦には加わらなかった。しかし、補強をまったく行なわなかったわけではない。

 新外国人選手ではマクガフ、スアレスと2名の投手を獲得。日本人選手では秋吉亮、谷内亮太との交換トレードで高梨裕稔、太田賢吾を日本ハムから獲得している。ほかにはソフトバンクからともに戦力外となった寺原隼人、五十嵐亮太を補強している。このように日本人選手はすべてパ・リーグの球団から獲得した形だ。

 新加入の選手が期待通りの活躍を見せてくれれば、昨季以上の結果も見えてくるはず。そんな各選手にとって心強い成功の法則がある。

 ヤクルトにやってきたパ・リーグ出身の選手は結果を残す確率が高いのである。坂口智隆がその代表例だ。坂口は2015年オフにオリックスから減額制限を提示され、自由契約を選択。その後、ヤクルトと契約すると、2016年から3年連続で規定打席に到達している。昨季は青木宣親の加入もあり、外野から一塁へとコンバートされたが、その影響を感じさせず打率.317を記録。1番打者として燕打線を牽引した。いまやチームに欠かせない存在のひとりといっても過言ではない。

 坂口ほどのインパクトはないが、昨季からチームに加わった田代将太郎(前西武)も守備固め、代走で結果を残した。少ない打席ながら打率.323(31打数10安打)を記録し、自己最多の73試合に出場している。

 大松尚逸(前ロッテ)、鵜久森淳志(前日本ハム)も代打の切り札として、ヤクルト移籍後に蘇った。

 トレードでやってきた選手では今浪隆博(前日本ハム)が好結果を残した。2014年途中に日本ハムからヤクルトに移籍すると、2015年には打率.317(123打数39安打)を記録し、優勝に貢献。その後、病気の影響もあり2017年シーズンを持って現役を引退したが、人気は高く、イベントなどでは多くのヤクルトファンを集めている。

 FAでチームに加わった大引啓次(前日本ハム)も故障と戦いながらリーダーシップを発揮している。移籍初年度の2015年には正遊撃手として優勝に大きく貢献した。

 このようにパ・リーグからヤクルトにやってきた選手の多くは、移籍後に結果を残している。寺原、五十嵐も先人たちに続きたいところだ。

オリックスから阪神へのFA移籍は……


 このオフにおけるFAの目玉だった西勇輝はオリックスから阪神に移籍した。メッセンジャーや同じく新加入のガルシア(前中日)とともに先発ローテーションの一角として期待されている。しかし、その西には不穏な法則がある。過去、オリックスから阪神へFAでやってきた選手の多くが不振に陥っているのだ。

 オリックスから阪神へFA移籍した選手は石嶺和彦(1993年オフ)、山沖之彦(1994年オフ)、星野伸之(1999年オフ)、日高剛(2012年オフ)、糸井嘉男(2016年オフ)と5人いる。このなかでFA移籍後も結果を残しているのは糸井だけと言ってもいいだろう。

 石嶺は移籍初年度から全130試合に出場したが、打率.246、17本塁打はレギュラー定着後のキャリアワースト。以降は出場機会も減少し、1996年オフに現役を引退している。

 山沖は移籍後に1度も登板がないまま現役を引退。星野も3年間で8勝13敗、最後の2年間は規定投球回どころか40イニングにも届かなかった。日高も2年間でわずか46試合の出場に終わり、現役を引退している。

 糸井は現在進行ではあるが、2年連続で規定打席に到達。昨季は打率.308と結果を残している。今シーズン中に38歳になるため年齢的な不安はあるが、ここまでは結果を残しており、現状では成功といっていい。

 このように糸井を除いてFAでオリックスから阪神へ移籍した選手の成績は奮わない。とくに投手で結果を残した選手は不在。西はジンクスを破ることができるだろうか。今季の投球に注目が集まる。

文=勝田聡(かつた・さとし)

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