昨年、本塁上での捕手と走者の衝突を防止するための「コリジョンルール」が導入され、日本球界に変革がもたらされたことは記憶に新しい。
そして今季からは、本塁以外の塁上での危険なプレー、悪質なスライディングを禁止するルールが導入されることが、1月11日に東京都内で開かれたプロ・アマ合同の日本野球規則委員会で決められた。
メジャーではすでに昨シーズンから導入されていて、日本もその流れに追随することが規定路線ではあったが、その後押しともなったのが昨年の4月3日の日本ハム対ソフトバンクでのアクシデントだった。
この試合の6回裏、日本ハムの攻撃の際にそのアクシデントは起こった。6回裏無死一、三塁という場面で、中田翔が強めの三塁ゴロを打つ。ライン際の打球を逆シングルで押さえた松田宣浩は、ダブルプレー狙いで二塁へ送球。ベースカバーに入った川島慶三が捕球し、三塁方向へ退避しつつ一塁へ送球しようとしたところへ、一塁走者の田中賢介がそれを阻止すべく、川島の足をすくう感じのスライディング。このプレーで川島は負傷し、即座に病院へ。4カ月近くの戦線離脱を余儀なくされている。
このとき、工藤公康監督は守備妨害を主張し5分間の猛抗議を行ったが受け入れられず。結局、三塁走者は生還し、一塁走者は二塁でフォースアウト。打者走者は生きて、1死一塁から試合は再開された。
今回の会合で正式決定されたのは、走者はベースに向かって真っすぐスライディングをしなければならないということ。そして、ルールを逸脱した場合は、走者が守備妨害でアウトになるだけでなく、打者走者もアウトとなる。
これを前述の川島の負傷のケースに当てはめてみよう。一塁走者・田中のスライディングが危険というジャッジが下されたとすれば、田中が守備妨害でアウトになるだけでなく、三塁ゴロを放った中田までアウトとなり、二死走者なしから試合再開ということになる。
詳細なルール運用などについては、1月23日の会合であらためて決定される。そこで、リプレー検証をするかどうかなども話し合われる模様だ。おそらくコリジョンルール同様に、抗議があれば審判団が映像を確認し、あらためてジャッジを明らかにするというシステムになるのではないか。
コリジョンルール導入時も現場は大混乱しただけに、今回も一筋縄ではいかないだろうが、目的は「選手のケガを防止する」ためのルール変更。この理念とともに、なんとかスムーズにルールが浸透することを願うのみだ。
文=藤山剣(ふじやま・けん)