今春、評価を大きく上げたのは姫路南の好左腕・照峰賢也だ。オフシーズンの間に7キロの増量に成功し、下半身の使い方も矯正。スケールアップを遂げたストレートは最速143キロに達した。天性レベルの柔らかいヒジの使い方は必見。抜けのいいチェンジアップにも定評がある。
林直人(報徳学園)は制球力抜群の最速141キロ左腕。体の開きが遅い、球の出所が見づらい投球フォーム、右打者の外角高めに伸びながら逃げていくストレートの軌道は和田毅(ソフトバンク)を彷彿とさせる。
最速143キロを誇る小林彪希(東洋大姫路)も伸びしろたっぷりの逸材左腕だ。
古西祥真(社)は空振り率の高い、ホップするかのようなストレートが光る急成長右腕。プロ注目の最速147キロ右腕・藤本竜輝との二枚看板を形成し、初の夏甲子園を狙う。
今春のセンバツ大会で自己最速の147キロを記録した明石商の2年生エース・中森俊介はクレバーなセンス抜群の投球が秀逸。
多彩な変化球を誇る好右腕・北村聡汰(須磨翔風)は緩急を織り交ぜたコンビネーションで今春、明石商の県内連勝を28でストップさせた。
その他では、春Vの立役者となった急成長右腕・松本凌人(神戸国際大付)、抜群の球威を誇るサイドハンド右腕・茶谷哲兵(西宮東)、小柄な体から140キロオーバーのストレートを繰り出す川合慎磨(高砂南)、スタミナ抜群の好右腕・山下泰知(東播磨)、体感速度抜群のストレートが光るサウスポー・執行大成(県伊丹)、西井諒(神戸国際大付)、木下颯太(六甲アイランド)らの名が挙がる。
野手の筆頭株は2年生ながらも高次元の三拍子を揃えた来田涼斗(明石商)だ。今春のセンバツ準々決勝では先頭打者&サヨナラ本塁打を記録。春夏を通じ、史上初の快挙を達成した。
明石商の4番を担う安藤碧はパンチ力抜群の強肩外野手。今春のセンバツ準決勝で甲子園の右中間最深部に叩きこんだ特大本塁打は圧巻だった。
体に巻き付くような、しなやかなスイングから広角に安打を量産する宇野隼輝(東洋大姫路)は野球センス抜群の俊足外野手。
県内トップクラスの長打力を誇る柴野琉生(神戸国際大付)の滞空時間の長い、品を感じさせる本塁打は目の保養になる美しさだ。
水上桂(明石商)は兵庫を代表する捕手。一冬を越え、体の筋肉量が増したことでプレーの質は大幅に向上。武器であるスローイングの強さ、正確性はさらに増した。
安定したスローイングと好リードで須磨翔風を春準Vに導いた堂本武蔵、強肩強打が光る俊足捕手・余根田祐太(東洋大姫路)、クイックなスローイングと成長著しい打撃に定評がある柳原誠(姫路南)も要注目の司令塔だ。
西川純平(市西宮)は抜群のスピードが光る超俊足外野手。
ハイレベルな広角打法を誇る渡邊絃太郎(姫路南)、豊福勇介(須磨翔風)、軽快な内野守備に定評がある松浦隆己(神戸国際大付)、澤田樹(滝川二)、大崎秀真(報徳学園)も球場で観たくなる好素材だ。
センバツ4強入りを果たし、2年連続夏出場を狙う明石商が頭一つ抜き出た感はあるが、全体的には力が拮抗
しており、激戦が予想される。
豊富な甲子園出場経験を誇る強豪私立がひしめく中、公立校の躍進が光る近年の兵庫。
今春の県大会においても準々決勝に進出した8校中6校が公立校。
過去10年を振り返っても、公立校が頂点に立ったケースが3度ある(2018年の記念大会含む)。
下馬評通りの展開にならないことが多い夏の兵庫。
公立勢にも大いにチャンスはある。