U-18アジア選手権は連覇を目指した侍ジャパンU-18代表は3位と残念な結果に終わったが、選手個々人の働きはどうだったのか。ドラフト候補として取り上げられている注目野手を、“プロで通用するのか”というドラフト目線で振り返ってみる。
今年の高校野球、そしてドラフトを語る上で欠かせないのが、藤原恭大(大阪桐蔭)だ。夏の甲子園での躍動そのままにU-18アジア選手権でも打率.444(18打数8安打)とチーム2位の打率をマーク。大会ベストナインに選出された。高校生が苦しみがちな木製バットにも対応し、ドラフト1位候補の片鱗を見せた。
藤原と同じく注目を集めていたのが根尾昂(大阪桐蔭)だ。この大会でも「二刀流」として投手、野手で試合に出場。打ってはチーム唯一の本塁打を放ち、打率.389(18打数7安打)はチーム3位。初戦の香港戦ではサイクル安打を達成するなど、さすがの存在感を見せた。
根尾は身長177センチと野球選手としては決して大きくない。その点に若干の不安は残るが、投打に渡る活躍を見せただけに評価はさらに上がったはず。藤原とともに1位指名で姿を消す可能性は高い。
藤原とともに2年時から侍ジャパンU-18代表に名を連ねる小園海斗(報徳学園)は打撃で見せた。打率.524(21打数11安打)、8打点はチームトップ。夏の甲子園では初戦で大会記録となる1試合3二塁打を放ったが、その後は結果を残せなかった。その鬱憤を晴らした格好だ。
しかし好調な打撃の反面、守備では精彩を欠いた。1次ラウンド最終戦の韓国との一戦では初回に失策。その後に吉田輝星(金足農)が結果的に決勝点となる3点本塁打を浴びているだけに、悔いが残る失策となってしまった。
その試合では失点にこそ結びつかなかったものの、2回、5回にも失策を重ね1試合3失策。かなり深めの守備位置で守っていたが、KIRISHIMAサンマリンスタジアムの内野は天然芝。甲子園の土や人工芝と比べると打球の勢いが殺される。そのために対応がうまくいかなかった。
続く台湾戦では若干、守備位置を前にしたもののそれでも2失策。今大会通算で5失策と守備面では挽回できなかった。打撃だけでなく、遊撃の守備に関する評価も高かっただけに、この拙守に驚いた者も多かった。しかし、持って生まれたセンスはある。練習で改善できるはずだ。
その他の野手では「静岡のジーター」こと奈良間大己(常葉大菊川)に注目が集まった。大会前は進学希望との報道があったが、その後「迷っている」とコメントを出していた。
大会では打率.250(20打数5安打)と木製バットへの対応に苦しみ、大きな実績を残すことができなかった。しかし、二塁を任された守備面では5試合で無失策。今夏の静岡大会で打率.811を記録したことから、打撃が語られることが多いが、安定した守備を見せてくれた。
同大会後、家族と関係者と相談した結果、あらためて進学を表明した奈良間。4年後のプロ入りが期待される。
■侍ジャパンU-18代表/野手の成績
野尻幸輝(木更津総合)
5試合:打率.267(15打数4安打)/0本塁打/6打点/4盗塁
蛭間拓哉(浦和学院)
5試合:打率.357(14打数5安打)/0本塁打/3打点/0盗塁
日置航(日大三)
5試合:打率.182(11打数2安打)/0本塁打/3打点/1盗塁
奈良間大己(常葉大菊川)
5試合:打率.250(20打数5安打)/0本塁打/6打点/0盗塁
根来龍真(常葉大菊川)
4試合:打率.286(7打数2安打)/0本塁打/1打点/1盗塁
小泉航平(大阪桐蔭)
5試合:打率.100(10打数1安打)/0本塁打/3打点/1盗塁
中川卓也(大阪桐蔭)
5試合:打率.214(14打数3安打)/0本塁打/4打点/2盗塁
根尾昂(大阪桐蔭)
5試合:打率.389(18打数7安打)/1本塁打/7打点/0盗塁
藤原恭大(大阪桐蔭)
5試合:打率.444(18打数8安打)/0本塁打/5打点/3盗塁
小園海斗(報徳学園)
5試合:打率.524(21打数11安打)/0本塁打/8打点/2盗塁
峯圭汰(創成館)
4試合:打率.333(3打数1安打)/0本塁打/0打点/0盗塁
文=勝田聡(かつた・さとし)