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《週刊巨人特集》〜巨人よ、巨人たれ〜 やるならド派手にヒールに徹してくれ!


「4番ばかり集めても勝てない」

 長年に渡って巨人への恨み節として言われ続けている台詞がこれだ。確かにかつての巨人の補強はすさまじかった。

 FAでは落合博満(1993年)を皮切りに広澤克実(1994年)、清原和博(1996年)、江藤智(1999年)、小笠原道大(2006年)、村田修一(2011年)と他球団の4番級打者を次々と獲得。

 FA以外でも相手球団のゴタゴタにつけ込み、小久保裕紀やサブローを獲得。それだけではない、古くはシピンから始まり、ハウエル、ペタジーニやローズ、李承?、ラミレスなど、他球団で活躍した外国人選手にも触手を伸ばし、ド派手な補強を続けてきた。

 そして、多くの選手が衰えが見えると冷や飯を食わされ、巨人を去っていった……。

コジンマリしてきたんじゃないか!?


 しかし、ここ数年の巨人の補強はどこか控えめな気がする。2013年オフは大竹寛、片岡治大。2014年オフは相川亮二、金城龍彦。昨オフに至っては片岡治大の人的補償で西武に放出した脇谷亮太を獲得するに留まった。

 ロッテから獲得したクルーズも守備は名手級だが、打撃は平凡といえば平凡。いまいち、他球団ファンの「悲鳴」が聞こえてこない微妙なラインを突いてきている。

 それどころか、一時期前から「育成の巨人」復活を標榜し(以前のポイントがどこなのかは正直わからないが)、3軍を設置するなど、生え抜き選手育成にこだわっている。

 FA選手が大活躍するわけでもなく、生え抜きが重視され、アンチとしては青筋を立てて叩く点が見失われつつあるのだ。


プロビンチャの仮面を被るな!


 だからこそ、ここは逆張りしたい。

 近年は金満のイメージがソフトバンクに移りつつある気がするのだ。他球団の痛いところを突くFA補強や育成設備の充実など、補強と育成の両輪でソフトバンクマネーを遺憾なく駆使し、もはや黄金時代の到来と言ってもいいだろう。

 勢いづくパ・リーグに待ったをかけるのは、セの盟主たる巨人のはず。もっと堂々とビッグクラブを演じてほしいのだ。

 川淵三郎氏の「Jリーグに巨人はいらない」というコンセプトで幕を開けた日本プロサッカー界も20年経った今では、ビッグクラブ作りを求める声が多数。やはりスポーツにビッグクラブの存在は不可欠なのだ。

 確かに今季の広島のように生え抜き中心の地方チームが躍進すれば、ビッグウェーブが巻き起こる。サッカー風にいえば、プロビンチャ(規模が小さい地方都市のスポーツクラブ)。誰からも嫌われない、文句が少ない存在だ。

 ここ数年の控えめの巨人を見ていると、こともあろうにプロビンチャの仮面を被ろうとしているのではないか……と、不安になってくるのだ。

巨人よ、東京ジャイアニズムでいいじゃないか!


 かつての巨人には「俺たちは日本のヤンキースを目指しているんだ」という開き直った強さがあった。

 その開き直りがアンチ巨人の闘志を呼び、プロ野球界全体の盛り上がりを支えていたように思える。

「巨人が弱いと面白くない」

 巨人が弱体化するとアンチ巨人からこんな声が漏れ聞こえる。そんな意見に対し、「いーや、巨人が弱いとメシがうまい」「巨人ファンのなりすましだ」という熱烈なアンチ巨人も一部存在するが、結局はもっと大きなところで、

「巨人が憎たらしくないと面白くない」

 のではないだろうか?

 球界の盟主を標榜し、ときにはルールぎりぎりの補強をやってのけ、「どうだ、俺がジャイアンツ様だ」「首都なんだからいいだろう!」と踏ん反り返ってほしい。

 正直、そんな巨人が好きなのだ。“出来杉くん”(※1)を目指してほしくない。君は“ジャイアン”ツなのだから。

(※1:『ドラえもん』に登場する優等生キャラクターの出木杉英才)


文=落合初春(おちあい・もとはる)

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