交流戦に入る直前の順位に沿って上位チームから見ていこう。
首位の楽天からは梨田昌孝監督を『交流戦SERIES』に選出したい。2001年、梨田監督は近鉄を率いてヤクルトと日本シリーズで対戦。惜しくも日本一は逃したが、猛打の「いてまえ打線」を作り上げ、近鉄最後の優勝を成し遂げた。
梨田監督と対戦するヤクルトOBの投手は、日本シリーズ第1戦でいてまえ打線を1安打に封じ込め、完封勝利を挙げた石井一久氏でどうだろうか。
この日本シリーズはヤクルトの4勝1敗。5試合で終わったため、石井は1試合のみの登板だった。しかしチームに勢いをつける好投が評価され、優秀選手賞を受賞。梨田監督にとっては因縁の深い相手だ。
■対決するレジェンド
楽天:梨田昌孝(現楽天監督)
ヤクルト:石井一久氏
2位のソフトバンクからは、ヤクルトとダイエーで活躍した西村龍次氏を選びたい。
1989年のドラフト1位でヤクルトに入団し、4年連続2ケタ勝利を挙げる活躍。1995年に吉井理人(現日本ハムコーチ)とのトレードで近鉄に移籍したものの力を発揮できず自由契約。1998年にダイエーにテスト入団した。
ダイエーでは「ヤクルト再生工場」を思い起こさせる復活を遂げ、4年ぶりに2ケタ勝利をマーク。カムバック賞を受賞した。
対するヤクルトのレジェンド打者は、西村氏と同期入団の古田敦也氏。1989年のドラフト2位で入団。1年目からレギュラーに定着し、その後の活躍はここに記すまでもない。
西村氏と古田氏は1991年に最優秀バッテリー賞を受賞。息の合ったコンビぶりを見せてくれた。かつてのゴールデンバッテリーの一打席対決はどうなる?
■対決するレジェンド
ソフトバンク:西村龍次氏
ヤクルト;古田敦也氏
1992年、1993年、1997年。1990年代に3度に渡って日本シリーズで雌雄を決したヤクルトと西武。その西武からは西口文也2軍投手コーチをお呼びしたい。
1994年のドラフト3位で西武に入団した西口コーチは2年目からエース格として台頭。3年目の1997年には最多勝、最高勝率、最多奪三振のタイトルをそうなめにし、沢村賞を受賞。パ・リーグ最高投手として日本シリーズに初出場し、ヤクルトと日本一をかけて戦った。
西口コーチは第1戦に先発するが1失点で完投負け。最終戦となった第5戦でも先発を果たすが5回3失点で敗戦投手に。4勝1敗でヤクルトに優勝をさらわれた。あのとき喫した2敗のリベンジを『交流戦SERIES』で果たしたい。
ヤクルトからはジム・テータム氏を呼びたい。1997年のシーズン途中に来日したテータム氏は51試合の出場ながら打率.309、13本塁打、25打点と活躍。
西武との日本シリーズでも一塁で出場すると、第1戦で好投を続ける西口氏から8回表に値千金の決勝本塁打を放つ。ヤクルトはこの1点でシリーズ初戦をものにした。また、第5戦でも西口氏から安打を放っている。
この日本シリーズでは16打数2安打(打率.125)と不振だったが、その2安打はいずれも西口氏から放ったもの。「お得意様」相手との対決なら喜んで引き受けてくれるかも?
■対決するレジェンド
西武:西口文也(現西武コーチ)
ヤクルト:ジム・テータム氏
本稿を書くにあたって関連するレジェンドを調べてみると、各球団にヤクルトと縁のあるOBが多く在籍していることがよくわかった。読者の方も贔屓球団の『交流戦SERIES』を考えてみてはいかがだろうか。
文=勝田聡(かつたさとし)