トロント・ブルージェイズの名物男、川崎宗則のNPB復帰が噂されている。川崎自身、「(来季は)もう僕の中で決まっている」と発言。これを受けて球界のご意見番こと張本勲氏も「帰っておいで」とラブコール。オリックスかソフトバンクと契約するのでは? という線が有力だ。
アメリカ人も驚くコミュニケーション力で、従来の日本人メジャーリーガーとは違う目立ち方をした川崎。ただ、プレー機会は少なく、現状の実力を判断することは難しい。今の彼はNPBでどのくらい成績を残せるのだろうか?
そこでひとつの“ものさし”代わりとして、2015年シーズンに「NPB復帰」した野手が合格ラインに達していたのかどうか、事前期待値と実際結果の「答え合わせ」をしてみたい。
※ここで扱う「合格ライン」は、今年2月に発売した『野球太郎 プロ野球選手名鑑+ドラフト候補名鑑2015』で記載したものです。
(3年ぶりにNPB復帰/オリックス/33歳)
アメリカで1試合もメジャー昇格を果たせなかった中島。だが、NPB復帰にあたってオリックスは4年総額15億円という超大型契約を提示したことが話題となった。そんな中島に対して野球太郎が設定した合格ラインと実際の成績は……。
合格ライン
100試合
打率.260
15本塁打
60打点
↓
今季の成績
117試合
打率.240
10本塁打
49打点
残念ながら、試合数以外はすべてにおいて合格ラインに遠く及ばなかった。また、試合数はクリアしたといっても、開幕早々に太もも肉離れで登録抹消。
復帰しても今度はギックリ腰でまたも登録抹消と、シーズン序盤の大事な時期に戦列を離れてしまったことはマイナス査定。また、かつて最多安打を獲得したこともあるヒットメーカーが「シーズン100安打」というのも寂しい成績だった。
もちろん、今季のオリックスは中島以外にも不調やケガで戦列を離れる選手が多かった。ただ、開幕前は優勝候補と称され、その「ラストピース」として中島に対する期待値が大きかっただけに、落胆するファンも多かったはずだ。
シーズン終盤にはプレーよりもプライベートで話題になることが多かった中島。来季はぜひ、そのバットでもって活躍し、2年越しのファンの期待=優勝に向けて奮起を期待したい。
(3年ぶりにNPB復帰/日本ハム/34歳)
アメリカでの苦しい2シーズンを経てNPBに復帰。今季、確かな存在感を発揮したのが日本ハムの田中賢介だった。そんな田中に対して野球太郎が事前に設定した合格ラインは……
合格ライン
120試合
打率.280
5本塁打
40打点
↓
今季の成績
134試合
打率.284
4本塁打
66打点
特に打率はパ・リーグの並みいる強打者の中にあって打率9位の好成績。間違いなく「合格」の太鼓判を押していい結果を残した。
田中賢介は果たした役割は、成績以外の部分でも大きかった。昨季限りで稲葉篤紀、金子誠という、長年チームを支えたベテランが揃って引退。その結果、今年の日本ハムのスタメンに20代前半ばかりが名を連ねることも珍しくはなく、必然的にチームの「精神的支柱」として、田中は欠かせない存在となった。
もともと、2012年に栗山英樹監督が就任した際、真っ先に決めたのが田中にチームキャプテンを任せること。一度袂が分かれてもその信頼は変わっておらず、「賢介がよくやってくれるよね」と評したことは一度ではなかった。
ベテランにもかかわらず秋季キャンプにも参加し、早くも来季に向け始動している田中賢介。今季同様、堅実な2番打者として、頼りになる3番打者として、多様な働き方が求められるはずだ。
今季、シーズン2位といえども首位・ソフトバンクと12ゲームもの大差をつけられた日本ハム。大型補強もむなしく5位に甘んじたオリックス。ストップ・ザ・ソフトバンクのため、中島裕之と田中賢介にかかる期待は今季以上に大きい。
文=オグマナオト(おぐま・なおと)