12月半ばに入り、1年が終わろうとしている。新年が明ければ自主トレが始まり、そこから1カ月もすれば春季キャンプが始まる。今年のドラフトで入団をした選手たちは、まず1軍キャンプ、そして開幕1軍を目指すことになる。
少し気は早いがドラフト1位の有望株たちはどのような選手に育つのが理想なのだろうか。今回は「独断と偏見」でセ・リーグのドラフト1位選手の完成形を考えてみた。
広島はドラフトの目玉の一人である小園海斗(報徳学園高)の獲得に成功した。広い守備範囲とシュアな打撃、そして足とすべてにおいて高校生離れしている遊撃手だ。同期の根尾昂(大阪桐蔭高→中日)と同じポジションということもあり、なにかと比較されるが、立浪和義(元中日)のような中距離ヒッターが理想だろうか。
パワーがつけば、野村謙二郎氏(元広島)のような未来もある。よくも悪くも高卒の選手だ。じっくりと育成したい。
根尾昂(大阪桐蔭高→中日)、上茶谷大河(東洋大→DeNA)と抽選を外したヤクルトが指名したのは清水昇(國學院大)だった。清水は川崎憲次郎や川島亮が背負った背番号「17」を与えられ、即戦力右腕として期待されている。
清水は最速150キロを超えるストレートにツーシームを織り交ぜる投球スタイル。現時点では、これといった決め球があるわけではないが、バランスがいい。同じく大卒ドライチで入団したチームの先輩、原樹理のように最初から結果が出なくとも、2年目、3年目から頭角を現しそうなタイプだ。
巨人は根尾昂(大阪桐蔭高→中日)、辰己涼介(立命館大→楽天)を外し、3度目の入札で高橋優貴(八戸学院大)を指名した。高橋は150キロを超えるストレートが武器の左腕で、北東北大学リーグの奪三振記録を塗り替えたドクターKでもある。
力強いストレートを繰り出す150キロ左腕と言えば、今オフにMLB移籍が濃厚な菊池雄星(西武)が完成形となりそう。内海哲也、田口麗斗とチームの左腕とはタイプが違うだけにおもしろい存在となりそう。
DeNAは小園海斗(報徳学園高→広島)を外し、今春の東都大学リーグでMVPを受賞した上茶谷大河(東洋大)を獲得。最速152キロのストレートにスライダーやスプリットで空振りを奪う本格派右腕だ。カミソリシュートでおなじみの平松政次(元大洋)氏が背負っていた背番号「27」を与えられたことからも、期待値の高さがうかがいしれる。本人が自覚しているように制球もよく、三浦大輔投手コーチのような完成形を期待したい。
今年のドラフトで1番の目玉だった根尾昂(大阪桐蔭高)は中日が引き当てた。「二刀流」は封印し遊撃手一本で勝負することを宣言。昨シーズンの新人王でもある京田陽太とレギュラーを争うことになる。根尾は野球センスに優れており、万能タイプの遊撃手。打って走って守れる遊撃手は貴重な存在だ。今シーズン限りで現役を引退した松井稼頭央(元西武ほか)を目指したい。
藤原恭大(大阪桐蔭高→ロッテ)、辰己涼介(立命館大→楽天)と2度の抽選に外れた阪神は近本光司(大阪ガス)を指名した。一貫して外野手を指名したところに球団のこだわりが感じられる。近本は170センチと小柄で、俊足・巧打の外野手ということもあり、OBである赤星憲広氏のような存在になることが理想。社会人出身というところも赤星氏と一緒だ。1番・中堅を1年目から奪い獲りたい。
文=勝田聡(かつた・さとし)