プロ入り1年目から、リリーフとして8年連続50試合登板を続けるタフネスサウスポー。この8年という月日。すでに現役を退いたマイケル中村(MICHEAL)、建山義紀、菊地和正、榊原諒らとリリーフ陣を形成していたことを考えると、いかに過酷なポジションで歴史を刻んできたかがわかる。
特に2012年は、増井浩俊や武田久とともに、勝利の方程式としてリーグ優勝に大きく貢献。翌年以降も、クロッタ、カーター、鍵谷陽平、白村明弘など「相方」は毎年変わっても、宮西は常に試合終盤の厳しい場面で登板を続けているのだ。
宮西は2014年、国内FA権を取得したが、球団から「複数年契約の高評価」で引き止められた形でFA行使せずに残留した。これが他球団であれば特に驚くような話ではないが、日本ハムにおいて「選手の慰留」は異例の出来事。
過去に日本ハムは、FAで小笠原道大、藤井秀悟、森本稀哲、鶴岡慎也、大引啓次、小谷野栄一らがチームを去った。また、ポスティングでダルビッシュ有、トレードで糸井嘉男を放出。「去る者は追わず、自前の育成選手の出場機会に充てる」というチーム方針が頑なに守られている。
それでも宮西は引き止めた。これはつまり、「宮西に代わる選手はいない」ということにほかならない。
今季、宮西はすでに16試合に登板して防御率1.69、10ホールドと好調を維持(5月30日現在)。次なる記録は、あと残り20試合を切ってカウントダウンに突入した通算500試合登板だ。
文=サトウタカシ (さとう・たかし)