オリックス4位 本田仁海・名将土屋恵三郎監督が「投げる才能」に太鼓判!
2017年プロ野球ドラフト会議で、総勢82名の選手が指名された。
2018年からのプロでの活躍に期待したい。
週刊野球太郎では、ドラフト会議の直前にインタビューした指名選手18名を特集!
プロで活躍するために戦ってきたドラフト候補と、彼らの「真価」を最も熟知している監督さんを取材した貴重な「証言」をお届けします。
今回の指名選手
オリックス ドラフト4位
本田仁海(ほんだ・ひとみ)
181センチ72キロ/右投左打。1999(平成11)年7月27日生まれ、神奈川県横浜市出身。小学1年から野球を始め、5年から投手に。大和市立つきみ野中では、3年夏にエースとして県大会出場。星槎国際湘南高では2年春から「1」を着け、3年春準々決勝では慶應義塾高を6安打1失点11奪三振に封じ、評価を上げた。ストレートとタテ横2種のスライダーが武器。
土屋恵三郎監督の証言
★最初の印象
初めて見たのは中学3年の6月頃です。体は細身だけど、地肩が強くて、リリースの強さも持っている。ボールを投げる感覚に、非常に優れていました。ただ、バント処理でマウンドからまったく動かないなど、野球については「まだこれから」という印象でした。
★成長曲線
高校2年の夏前からどんどん成長していきました。トレーニングの成果が出たこと、スリークォーターからオーバースローに変えたこと、そして本人の意識が変わったのが大きいと思います。2年の6月、ピッチャーノック中にやる気が感じられないので、練習を外したことがありました。ベンチに座って、1時間以上話しをしたんですが、そこから取り組む姿勢が少しずつ変わってきました。根は純粋で素直な子です。
★投手としての魅力
リリースの強さは、天性のものです。それを生み出しているのは肩甲骨の柔らかさと体を回転させるスピード。華奢なように見えて、意外に体幹はしっかりとしています。遠投を見ると、本田の投げる能力に驚かされます。セットポジションで100メートルを楽に放ってきますから。こんなピッチャーはなかなかいません。
★インステップ
インステップすることで、右バッターのアウトコースにより角度のあるボールを投げられています。ただ、疲れてくるとインステップがいつも以上に激しくなりやすい。これから、体をしっかりと鍛えていくことによって、軸が安定してくると思っています。
★これから
プロ志望です。社会人野球も考えていたのですが、本田本人が「プロに入って、お母さんを楽にさせてあげたい」と。母子家庭で育ってきた分、お母さんへの優しい想いを持っています。精神面でまだ甘いところもありますが、マウンドでの勝負根性は抜群。ピンチになればなるほど、ギアチェンジができ、指にかかったボールを投げられる。プロの世界で大きく羽ばたいてほしいです。
監督さんプロフィール
土屋恵三郎[つちや・けいざぶろう]
1953(昭和28)年生まれ、神奈川県出身。桐蔭学園高〜法政大〜三菱自動車川崎。桐蔭学園高の監督時代に春夏10度の甲子園出場。2015年から星槎国際湘南高の監督に就き、2017年春に県ベスト4。
本人の証言
★高校で野球をやめていた?
小学校のときは二番手で、中学校では県大会1回戦が最高成績です。高校では星槎国際湘南からしか、声がかかりませんでした。そこまで本気でやる気持ちがなくて…、もし、公立に行っていたら野球を続けていなかったと思います。ここまでこられたのは、土屋監督に生活面も精神面も細かく教えていただいたおかげです。
★球速の変遷
入学時が120キロ少しでした。そこから球速が伸びて、2年夏に142キロ、秋に145キロ、3年春に146キロ。149キロという記事もあるんですけど、自分で確認したのは146キロまでです。スリークォーターからオーバースローに変えたことでコントロールが安定し、球速が伸びたのは確かです。今は、トレーニングで体が変わってくることも実感しています。
★理想の投手
今春から夏にかけて、映像をよく見ていたのが、ソフトバンクの千賀滉大投手です。ゆっくり足を上げて、両肩の位置を並行にしたまま体重移動するところを特に参考にしていました。右肩を下げると、肩に負担がかかると思うので、並行にする意識を持っています。
★コントロール
一番自信を持っているのはコントロールです。3年春まではアウトコース中心の攻めでしたが、春を終えてからインコースを重点的に練習して、夏にはインコースでも勝負できるようになりました。
★これから
3年春の慶應義塾戦で勝てたことで自信がつき、プロを本気で目指すようになりました。順位は問わず、プロにいきたい。これから技術も体力も上げて、プロで勝てるピッチャーになりたいです。
球種に関する証言
ストレート 135 〜 146キロ
スライダー(横) 120 〜 125キロ
スライダー(タテ)123 〜 130キロ
カーブ 105 〜 115キロ
スライダーは横とタテの2種類があります。カウントを取りたいときは横、空振りを取りたいときはタテと使い分けています。土屋監督の教えもあり、フォーク系の挟むボールは投げていません。(本人)
フォームに関する証言
監督
トップを耳の横で作るピッチャーが多いですが、本田の場合は体の低いところで作っています。そこから体の回転に合わせて、一気にリリースまで持ってくる。バッターはタイミングが取りづらいはずです。
本人
テイクバックを大きく取りすぎないことと、リリースのときに頭が突っ込まないことを意識しています。タオルを使ったシャドウピッチングと遠投でフォームを作ってきました。
グラウンド外の素顔
取材日の調整で土屋監督に電話をすると、「本田が寝坊してね…。話をしたいことがあるから、もう少しあとでいいかな」。取材日は、予定よりも2週間あとになった。「引退して、気が緩んだのがあって…。土屋監督に怒られましたが、怒ってもらってよかったです」
この一件以降、目の色を変えてトレーニングに取り組んでいるという。恩師からの厳しくも温かい励ましだった。
本稿は雑誌『野球太郎 No.024 2017ドラフト直前大特集号』(2017年9月23日発行)に掲載された人気企画「ドラフト候補&指導者マンツーマン・インタビュー」から、ライター・大利実氏が執筆した記事をリライト、転載したものです。
取材・文 大利実
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