■生田目翼(流通経済大=写真)
指名漏れした選手のなかで一番の大物は生田目だろう。ドラフト前の最後の登板となったリーグ戦では田中と投げ合い、故障明けでも心配ないことをアピール。しかし、指名には至らなかった。「上位指名ならプロ入り」という縛りが噂されていたが、それが裏目に出たのかもしれない。
最速155キロを誇る生田目は社会人野球に進むのだろうか。リーグ戦で田中に黒星をつけた快投を、プロでも見せてほしいと願うのは筆者だけではないはずだ。次なるステップでのさらなる飛躍を期待したい。
■高橋拓巳(桐蔭横浜大)
175センチ72キロと小柄ながら、三振を奪える左腕ということで注目を浴びていた高橋も指名漏れとなった。リーグ戦ではNPBのみならずメジャーのスカウトも訪れたほどの逸材だったにも関わらず、残念な結果に終わった。
ドラフト前、秋季リーグ戦の最後の登板で崩れたのが不安視されたのだろうか。桐蔭横浜大の先輩、東明大貴(富士重工業→オリックス)や横山弘樹(NTT東日本→広島)のように、社会人から再度プロを目指すことになりそうだ。
■松本桃太郎(仙台大)
先日行われた『野球太郎』恒例の模擬ドラフトイベント「極私的プロ野球ドラフト会議2016」で名前を読み上げられた松本は、まさかの指名漏れ。三塁と一塁を守る巧打者だが、ポジション的にプロからは敬遠されがちだったのだろうか。中田亮二(元・中日/現・JR東海)も巧打の一塁手として亜細亜大からプロ入りしたが、結果を残すことができなかった。
松本は社会人のホンダ鈴鹿へ進み、2年後のドラフトで再びプロ入りを目指すことが発表された。都市対抗野球で活躍し、プロのスカウトをうならせてほしい。
■松田進(中央大)
京田陽太(日本大・中日2位)、吉川尚輝(中京学院大・巨人1位)、石井一成(早稲田大・日本ハム2位)らと並び、大学遊撃手の注目候補と期待された松田には、指名がかからなかった。
187センチの大型遊撃手だが、社会人も含めライバルの遊撃手が多く、指名リストに残らなかったのだろうか。社会人で経験を積み、2年後のドラフトでは即戦力候補としての指名を目指したい。
■佐藤拓也(立教大)
立教大のヒットメーカーで、大学侍ジャパンの一員でもあった佐藤も指名漏れ。チームメイトの田中和基(外野手・楽天3位)、田村伊知郎(投手・西武6位)、澤田圭佑(投手・オリックス8位)が次々と指名されていくのを横で見ながらドラフトが終わった……。その思いは複雑だったことだろう。
今後の進路はまだ発表されていないが、次のステージでの活躍を期待したい。
■天本昂佑(秀岳館高)
九鬼隆平(捕手・ソフトバンク3位)、松尾大河(内野手・DeNA3位)が上々の3位指名を受ける一方で、天本の名前は最後まで読み上げられることはなかった。
秀岳館高では5番打者として甲子園で活躍。春夏の甲子園通算打率.484は九鬼と松尾を凌ぎ、チームの春夏連続ベスト4に貢献した。現在のところ進路は未定だが、次のステージで結果を残し、2人に追いつく日を迎えたい。
今年は残念ながら指名漏れとなった選手たちは、数年後に成長した姿でプロの扉を開けてほしい。指名漏れの悔しさから這い上がり、プロ野球界を代表する捕手となった古田敦也(元・ヤクルト)の例もある。輝かしい未来が彼らに訪れる日を楽しみにしたい。
文=勝田 聡(かつた さとし)