プロ野球はレギュラーシーズンが終わり、ポストシーズンに突入。と同時に、来シーズン以降のチームを大きく左右するドラフト会議も終了した。そこで今回はドラフトにまつわる週刊野球太郎的「成功&失敗の法則」をピックアップしてみた。
毎年、ドラフトの時期になると「ロマン砲」候補が取り上げられる。上位指名は難しいが下位指名ならプロ入り可能、かつ一発が魅力の選手たちだ。当たれば大きい長距離砲。そういった意味合いを込めて「ロマン砲」と名づけられている。
しかし現実問題として、ドラフト下位指名の選手から長距離砲はなかなか生まれない。両リーグの本塁打王の名前を見てもそれは一目瞭然である。
平成元(1989)年以降でドラフト下位から本塁打王になった例は江藤智(広島5位/1993年、95年に本塁打王)と中村紀洋(近鉄4位/2000年に本塁打王)、新井貴浩(広島6位/2005年に本塁打王)と3人だけ。
また、今シーズン30本塁打以上を放った日本人選手は8人(セ・パ4人ずつ)いるが浅村栄斗(楽天)の3位(ドラフト時は西武)がもっとも低い指名順位となっている。
山田哲人、村上宗隆(ともにヤクルト1位)、坂本勇人、岡本和真(ともに巨人1位)、山川穂高、中村剛也(ともに西武2位)、松田宣浩(ソフトバンク希望枠)と、浅村以外の7人は全員が2位までに指名されているのである。
ちなみに30本塁打未満、20本塁打以上を放った選手で唯一の下位指名は、井上晴哉(ロッテ5位/24本塁打)だった。
このように長距離砲はドラフト下位指名からなかなか育たない。それでも未完の大器を求め各球団はロマン砲候補を指名し、ファンは成長過程に酔いしれる。プロ入りを果たしたロマン砲候補の未来に期待をかけたい。
今シーズンのセ・リーグは巨人が2014年以来5年ぶりとなるリーグ優勝を果たした。と同時に連覇が途絶えた広島は佐々岡真司監督体制の元で新たなチーム作りをしていくことになる。その土台となるのは3連覇中に入団してきた若い選手たちだろう。
そんな広島に吉兆がある。過去の広島を見ると優勝した年のドラフト会議で将来の中心選手や首脳陣を多く獲得しているのである。
初優勝を果たした1975年のドラフト1位は北別府学だった。広島一筋で現役生活を終え通算213勝を挙げた大投手である。
2度目の優勝となった1979には2位で永田利則を獲得した。選手としては大きな実績はないものの、1994年からコーチとしてチーム強化に携わっている。これだけの期間に渡ってコーチ職を継続しているのは信頼があるからに他ならない。
その後も1980年には川口和久(1位)、1984年には正田耕三(2位)、1986年には緒方孝市(3位)、そして1991年には金本知憲(4位)とそうそうたる顔ぶれが並んでいる。チームを支えてきた功労者と言っても差し支えはないだろう。
2016年から2018年の3連覇中に獲得した選手たちは入団からの日が浅いこともあり、まだ大きな実績はない。しかし、2016年ドラフト組では床田寛樹や坂倉将吾、アドゥワ誠と3年目の今シーズン結果を残し始めた選手は多い。
2017年ドラフト組では遠藤淳志が高卒2年目ながら、中継ぎで34試合に登板し戦力となっている。そして2018年ドラフト1位の小園海斗は、高卒1年目ながらも、オールスター・ゲーム以降の後半戦は1軍のレギュラー格にまでのし上がった。現在行われているフェニックス・リーグでは二塁の守備にもつき、プレーヤーとしての幅をさらに広げようとしている。
過去の例と同じように3連覇中のドラフト指名選手が今後の広島を支える存在となるだろうか。その成長曲線を見守りたい。
文=勝田聡(かつた・さとし)