丸佳浩(広島→巨人)、浅村栄斗(西武→楽天)といった大物選手が動いた今オフのFA戦線。宣言した全選手の所属、そしてその補償も確定した。さて、シーズンも始まっていないこの時期ではあるが、2019年オフのFA戦線はどの様になるのか、新たにFA権を取得見込みの選手を探ってみたい。
2019年オフにFA権を得るだろう投手は、日本のエースと言っても過言ではない菅野智之(巨人)を筆頭にそうそうたる顔ぶれが並ぶ。5年連続奪三振王に輝いている則本昂大(楽天)や広島の3連覇を支えた野村祐輔に今村猛も順調にいけばFAを取得する。
ベテラン勢では250セーブまであとわずかに迫っている藤川球児(阪神)、サファテ(ソフトバンク)もFA市場に出る可能性がある。そして、セットアッパーに転向して結果を残した能見篤史(阪神)もそうだ。
菅野、則本といった絶対的エースがFA権を行使すれば、争奪戦となり大型契約を締結することは間違いない。しかし、現段階においてその可能性は低そう。両選手ともにFA宣言を行うとすれば、MLB移籍を目指すために海外FA権取得後だろう。
藤川、サファテそして能見はともに高齢。2019年シーズンの活躍次第ではあるが、そのほかの球団にFAで移籍することは年齢的にも考えにくい。また、これも可能性の低い話だが、もし退団するとすれば引退を勧告された後に本人が現役続行を希望し、他球団へと働きの場所を求めることくらいだろうか。
野村、今村の広島勢はFA宣言してもおかしくない。このオフも丸佳浩がFAで巨人へと移籍した。かつては江藤智(広島→巨人)、金本知憲(広島→阪神)、新井貴浩(広島→阪神)と主力野手が次々に流出しており、ファンの心中も穏やかではないだろう。
とはいえ、投手陣では黒田博樹(広島→ドジャース)、高橋健(広島→ブルージェイズ)とメジャーに挑戦した選手が2人いるが、国内では川口和久(広島→巨人)、大竹寛(広島→巨人)のみと思いのほか流出は少ない。野村、今村はどのように考えるのだろうか。
そのほかにも有力選手はいる。先発投手では美馬学(楽天)、十亀剣(西武)の2人がそうだ。美馬は2017年に、十亀は2015年にそれぞれ2ケタ勝利を達成。2018年は精彩を欠いたが、まだまだ先発としてやれる力はある。エース級の活躍はむずかしくても、ローテーションの3番手、4番手あたりで安定して投げることができる投手は貴重。また、契約更改の結果、十亀は補償がいらないCランクとなっている可能性が高い。FA宣言をすれば面白い存在になる。
中継ぎ陣では田島慎二(中日)、益田直也(ロッテ)がFA権を取得する。田島は1年目の2012年から2017年までは安定した投球を見せていたが、2018年は大乱調。キャリアワーストとなる30試合の登板にとどまり、防御率7.22と安定感を欠いた。2019年の活躍が自身の評価を大きく左右することになりそうだ。
一方の益田は年度ごとのばらつきはあるが、38試合の2017年を除き、2012年から50試合以上に登板。チーム事情でセットアッパー、守護神を務めて、通算128ホールド、61セーブを記録している。中継ぎ投手は長い年月にわたって活躍することが極めて難しいが、その点で益田は安定している。
このように順調であれば、来オフにFA権利を取得する投手は多くいる。誰が宣言して市場に出てくるのだろうか。楽しみに待ちたい。
■2019年・FA権取得見込みの投手
野村祐輔(広島)
今村猛(広島)
菅野智之(巨人)
田島慎二(中日)
藤川球児(阪神)
能見篤史(阪神)
十亀剣(西武)
デニス・サファテ(ソフトバンク)
益田直也(ロッテ)
則本昂大(楽天)
美馬学(楽天)
文=勝田聡(かつた・さとし)