10月5日からクライマックスシリーズのファーストステージが始まる。今年は両リーグともに昨シーズンの最下位に沈んだ阪神、楽天が3位に滑り込んだ。今シーズンだけでなく、昨シーズンから続く下剋上の行方も見どころとなる。
最後の最後までもつれたセ・リーグの3位には、最終盤に怒涛の追い上げをみせた阪神が滑り込んだ。後がない状態からの6連勝、そのうち4試合は完封勝ち。すでに2位はDeNAで確定していたが、最終的にはDeNAと0.5ゲーム差と、終わってみればまさに紙一重の結末だった。
初めて横浜スタジアムで開催されるクライマックスシリーズ。DeNAはファーストステージで阪神を迎え撃つことになる。今シーズンの勝敗を見ると、DeNAは8勝16敗1分とかなり相性が悪い。4月から5月にかけては7連敗。また阪神に3連敗してシーズンを終えているのも気にかかる。
しかし、ラミレス監督は「CSはまたちがう」とコメントしており、不安は抱いていないようだ。
とはいえ、DeNAは先発投手に不安がある。13勝を挙げたエースの今永昇太は盤石だが、2番手、3番手は上茶谷大河(7勝)、大貫伸一(6勝)のルーキー2人。もしくは平良拳太郎(5勝)、バリオス(1勝)とやや心細い。離脱している濱口遥大が復帰する可能性もあるが間に合うか。
やはり、抑えの山崎康晃までどのようにつないでいくかがポイントとなる。短期決戦だけに早めの継投で石田健大や三嶋一輝、国吉佑樹といった回跨ぎをこなすことのできる中継ぎ陣を前倒しで起用していくことになりそうだ。
一方で打線は強力だ。最終盤に離脱していた筒香嘉智も復帰予定。ソト(43本塁打)、ロペス(31本塁打)、筒香(29本塁打)と一発のある打者が揃う。シーズン中盤に離脱していた宮崎敏郎、伊藤光もすでに復帰。とくに宮崎は、9月は打率.333(39打数13安打)で終えているのが心強い。
かたや阪神は最後に追い込みを決めた勢いがある。
とくに救援投手陣は盤石。岩崎優、ジョンソン、藤川球児の勝ちパターンで登板する投手たちが全員防御率1点台。他にも島本浩也とドリスがおり、さらには終盤戦ではガルシアも中継ぎで起用された。特にガルシアは中継ぎ3試合で6イニングを投げ無失点と結果を出した。
阪神としては西勇輝、高橋遥人、青柳晃洋ら先発が予想される投手たちが踏ん張り、試合中盤までロースコアな展開に持ち込みたいところ。
そして、ファイナルステージで待ち受ける巨人は、投打に気になる点がある。野手では丸佳浩が絶不調。最後の10試合では打率.097(31打数3安打)と苦しんだ。チームを支えた選手であることは間違いないが、丸に固執しすぎると打線が分断される可能性もある。MVP最右翼の坂本勇人との打順も含め注目したい。
投手陣ではエース・菅野智之が登板できない可能性もある。山口俊、メルセデス、桜井俊貴、高橋優貴と先発投手陣は揃っているが、エース不在の影響は少なくないだろう。古川侑利、戸郷翔征といった若手投手陣たち含め、総動員で試合をつくりたい。
DeNA、阪神のどちらが勝ち上がってきても、3番手以降の投手は明らかに力が落ちる。巨人は菅野が登板できなかったとしても、打ち勝つ野球で日本シリーズ出場を決めたい。
パ・リーグのクライマックスシリーズはソフトバンクと楽天がファーストステージを戦うことになった。
3位・楽天のカギを握るのは先発投手陣。すでに則本昂大、岸孝之、美馬学の3人が先発することが明らかになっている。この3人なら、則本と岸の2人が2戦目までに登板し、もつれたら最後に美馬というのがセオリーだろう。
しかし、今シーズンの美馬は3勝1敗、防御率1.97とソフトバンクとの相性がいい。どのタイミングで登板させるのかがポイントとなる。
野手陣では浅村栄斗がソフトバンクを相手に打率.163、1本塁打と苦しんでいる一方、ブラッシュは打率.316、6本塁打と相性がいい。浅村の出来が勝負を左右することになるかもしれない。
ソフトバンクは千賀滉大、高橋礼の両輪で連勝を狙う。2人が森唯斗、モイネロの勝ちパターンに直接つなぐことが勝利への近道。とはいえ、ここは短期決戦。シーズン終盤に石川柊太が復帰したこともあり、早めの継投で押し切る可能性もありそうだ。
野手陣ではグラシアルの前に、どれだけ走者を貯めることができるかがカギとなる。ならば1番、2番に高出塁率の選手を配置したいところ。本調子とは言い難い柳田悠岐が最終盤に調子を上げてきた。最後の5試合では本塁打こそでなかったものの、打率.571(14打数8安打)と絶好調なのは心強い。
ソフトバンクは上位に高出塁率の選手を置いて先手必勝といきたい。そのリードを強力な投手陣で押し切る展開が理想的だ。
リーグ2連覇を果たしてファイナルステージで待ち構える西武は一にも二にも打線のチーム。スタメンには秋山翔吾(最多安打)、森友哉(首位打者)、中村剛也(打点王)、山川穂高(本塁打王)、金子侑司(盗塁王)とタイトルホルダーがズラリ。
外崎修汰、源田壮亮、木村文紀、栗山巧と脇を固める選手たちも盤石だ。さらには一発のあるメヒアも控えている。どれだけ点を取り、投手陣を助けることができるかがカギとなる。
投手に目を向けるとニールを軸とした先発陣が、どこまで踏ん張れるかにかかっている。なにも完封を目指す必要はない。強力な打撃陣が控えているのである。試合中盤まで大量失点せずにまとめることができれば、逃げ切る、あるいは逆転することができるはずだ。
西武はどこと対戦するにしても打ち勝つのみ。昨シーズンの雪辱を果たすことができるか。
文=勝田聡(かつた・さとし)