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まだまだ見限るには早い! 今年こそ生まれ変わって欲しい燻(くすぶ)り4選手

 チームには、「活躍してもらわないと困る選手」が存在する。もちろん全ての選手に当てはまることなのだが、中でもドラフト上位で獲得された選手には、入団時から常にその期待がかかる。

「クリーンアップの一角」「リードオフマン」などなど……。ファンや首脳陣は、「チームの核になってほしい」と、数年後の青写真を描くものだ。

 とはいえ、全てが計算通りに進むことがないのはプロ野球の常。だが、それが分かった上でも、「今年こそ」と願いたくなる選手がいる。

 今回はそんな、背中を押したくなる4選手にクローズアップしよう。


堂林翔太(広島)


「広島のアレックス・ロドリゲスになってほしい」と、背番号13と大きな期待を背負ってプロの門をくぐった堂林。3年目にフル出場を果たすと、オールスターや侍ジャパンにも選出されるなど、見事期待に応えてみせた。


 しかし今のところ、これが堂林のプロ野球生活のハイライトになりつつある。

 背番号を7に変えた翌年から、ケガなどで出場機会が年々減少。増えるのは、コンバートを繰り返す守備位置ばかりというのが現状だ。

 ただ、不振の中でも結婚し、子どもも生まれた。支えてくれる人たちのためにも、今季は1人の若手から、一家の大黒柱になった堂林。2016年シーズンこそ、生まれ変わる年になることを願ってやまない。


西川遥輝(日ハム)


 2年目の一軍デビューから、トントン拍子に出場機会を増やし、4年目に盗塁王を獲得。一見すると足踏みしているようには思えない西川。しかし守備で時折、目を疑うようなミスをするため、なかなか首脳陣の評価が定まらない。

 昨季、主に1番を打っていながら、陽岱鋼がケガから復帰するや否や、取って代わられたことからも、それがうかがえる。

 チーム事情で内野を守っていたこともあったが、自慢の快足を活かせる職場は、やはり外野だ。だからこそ、防げるミスは無くして、首脳陣の信頼をを勝ち取ってほしい。スタンドに入れるボールは、ホームランだけでいいのだ。

 今季はまず、定位置の確保を願いたい。それができれば、再度のタイトル奪取は時間の問題だ。


堂上直倫(中日)


 高校時代には相手チームに「投げる球がない」と言わしめるほどの打棒を見せつけた堂上。それだけに、プロに入ってここまでもがく姿を見せられるとは、想像もできなかった。

 特に昨季は、1軍でプレーし始めてワーストとなる42試合の出場。その内スタメンは9試合に留まり、打率も.158と散々な結果に。

 亀澤恭平、アンダーソン・エルナンデス、高橋周平と、守れるポジションにそれぞれライバルがいるが、かつては入団と同時に背番号1を与えられた選手。これで終わるはずがない。

 また堂上が務める中日選手会副会長職だが、立浪和義、福留孝介、森野将彦と、中日を代表する選手が就任してきた。そんな先輩たちの顔に、泥を塗るわけにもいかないだろう。


浅村栄斗(西武)


 近年のプロ野球を席巻する大阪桐蔭高のなかでも、「歴代最高のショート」の触れ込みで西武に入団。4年目に打点王を獲得し、5年目にケガをしながらもレギュラーを張り続けるなど、浅村のプロ生活は順風満帆に映る。

 しかし、順調すぎるがゆえの歯がゆさもある。ファンの期待するハードルが上がってしまったのだ。


 昨季、中村剛也の復帰により主に3番を任され、打率.270、13本塁打、81打点という成績を残した浅村。しかし4年目にタイトルを取るほどの活躍をしたものだから、非常に物足りなく感じてしまう。「打って当たり前」という空気が蔓延しているのである。

 もはや贅沢病と言っていいかもしれないが、このようなファンの心を満たすのは容易ではない。しかし浅村には今一度の奮起を期待したい。


今こそ、火種を燃やす時!


 「くすぶっている」と感じるのは、悪い意味では決してない。ファンが選手に対して、もっとできると思う気持ちの現れだ。

 期待というのは、できる人に対してかけるもの。活躍できていなければ、活躍してほしい。打っていても、もっと打ってくれ。際限がないが、できると思うからこそ願うのである。

 だからこそ、この4人の今季のプレーを改めて楽しみにしたい。そして、この言葉を送りたい。

 お前がやらなきゃ誰がやる!


文=森田真悟(もりた・しんご)

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