人気もさることながら、甲子園球場と東京ドームというビッグサイズの球場を本拠地とする阪神と巨人がワンツーとなった。ただ、平均動員数では阪神が上回ったが、この数字で「阪神が巨人を超えた」と結論づけるのは早計だ。
今季の主催試合数に照らし合わせてトータルの動員数を見ると、阪神が72試合で303万4626人、巨人が71試合で295万8890人。阪神が1試合多いので、平均動員数1試合分を引くと299万2478人となる。これでもまだ阪神のほうが3万3588人多い。
しかし巨人は、熊本、鹿児島、栃木、岐阜、群馬、長野と、地方球場で6試合を主催。この6試合は、球場のキャパが小さいこともあって、すべて1万人台の動員だった。対する阪神は、甲子園以外での主催試合は10試合中9試合が京セラドーム大阪(岡山で1試合)。この差は小さくなかった。同じキャパ条件だったら、必ずしも阪神が上だったとは言い切れない。
また、ペナントレースで2位に頑張った阪神が前年比2.8%増、4位に沈んだ巨人は0.1%減と、チーム成績が動員に影響を与えたことは間違いない。それでもトータル観客数はほぼ互角。巨人ファンがまだまだチームを見捨てていないことも同時に浮き彫りになった。
セ・リーグでは阪神以外にも、広島、DeNA、ヤクルトが前年比プラスとなっている。とくにDeNAは、最も多くの観客を集めたのがホーム開幕戦となった4月4日などの2万8966人(他に8月2日、10月1日も同数)。おそらく、これがほぼ満員の数字だろう。そして平均が2万7880人で、その差は1086人。これは12球団最少。つまり、もっとも空席が少なかったのがDeNAの横浜スタジアムなのだ。
また、席をゲットできなかったファンは、隣接する特設ビアガーデンで、大型スクリーンによる映像と漏れ聞こえてくる歓声を体感しながら試合とビールを楽しむのも定番。チームは2年連続3位と、長かった暗黒時代を脱しつつある。それはハマスタの盛り上がりと密接にリンクしている。
パ・リーグで大きく動員を伸ばしたのが、前年比10.7%増の楽天だ。ホームグラウンドのKoboパーク宮城は東北・仙台にあり、天然芝の青空球場。シーズン開幕当初や、終盤はまだまだ寒く、平日のデーゲームに試合をすることもある。そんな厳しい条件でありながらも多くのファンが駆けつけたのは、この地に球団が根づいたことに加えて、序盤から首位争いを繰り広げ、最後は失速しつつもAクラスに踏みとどまったことが大きい。
ほかに、パ・リーグで前年比プラスだったのは、楽天以外には西武だけ。こちらも夏場の13連勝で一気に勢いづき、4年ぶりのクライマックスシリーズ進出を果たしたことがファンの心に火をつけたのだろう。
文=藤山剣(ふじやま・けん)