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【ドラフト特集】ドラフト候補怪物図鑑・生田目翼(流通経済大)

 4週に渡ってお送りしてきた『ドラフト候補怪物図鑑』。最終回は、来年以降のドラフト候補を大紹介。

 女性ライター・則松(のりまつ)葉子さんが、「炎のストップウォッチャー」でお馴染みのキビタキビオ氏と、『野球太郎』持木編集長に迫ります。

 今回はその言動も注目を集めた、生田目翼投手にクローズアップ。




150キロ右腕はフリースタイルな暴れん坊


ノリマツ(以下ノリ):今回は来年のドラフト候補の中でも、ひときわ異彩を放つ生田目翼投手(流通経済大)についてお聞きしていきます。

持木:「なばため」と読む珍しい名前ですね。出身の茨城県では、意外とポピュラーな名字だと聞きます。しかしこの選手、名前以上に個性溢れるピッチャーです。

キビタ:草野球で好き勝手に育ってきた、ピッチャーなのに野手のようなプレーをする、やんちゃなタイプです。野球のうまいお兄ちゃん的な(笑)。

持木:野生児のようなね。彼は今年の大学3年生の春に全国大会でデビューし、150キロを超えるスピードで、注目されるようになりました。

ノリ:投球フォームを見たのですが、あれで150キロを超える球を投げられるというのは、ちょっと驚きでした。

キビタ:荒々しい、自由でワイルドなピッチングですよね。

周りが放っておかない、型破りな魅力


ノリ:生田目投手は、潜在的に運動神経が良いタイプという感じなんですか?

キビタ:もちろんそれはありますが、もっともっと「素材そのもの」という感じです。とれたての魚や野菜そのものの、手が加えられていないような魅力。

ノリ:料理次第で、美味しくも不味くもなるということでしょうか?

持木:大学野球では今のままで通用しているけれど、プロにいったらどこの球団で育てられるかで、変わってくると思います。

キビタ:この選手は水戸工業高校の出身で、そこまで強い学校だったわけではないのですが、大学(流通経済大)に入って、日本通運の監督も務めてプロも輩出していたピッチングコーチに教えられ、それで頭角をあらわしてきたんですよ。

持木:ただ本人は、プロにいきたいとかそれほど野球に対する興味があったわけでもなく、インタビューでは「公務員になりたい」などの発言をして、親に怒られた、なんてことも(笑)。まだ周囲が引き立てている段階なのかもしれません。

ノリ:周りが放っておけない魅力があると?

キビタ:そうですね。プロとしては大学生投手を1位、2位指名するなら、即戦力という思惑もあるので、力で抑えこめるスピードのあるピッチャーが欲しい。彼ならその候補にも上がりますからね。

未完のフォームと、怪我への不安とは


ノリ:逆に、生田目投手のネックとなるところはどこですか?

持木:最近は、ストレートと変化球でフォームをあまり変えずに投げるピッチャーが増えているなか、生田目投手はスライダーを投げると、明らかに腕が下がる投球フォーム。ストレートと明らかにフォームが違うので、プロに入ったらそこを直す必要が出てくるかもしれない。ただ彼の持ち味である自由度が奪われると、潰されてしまう可能性もあるでしょう。

キビタ:それと、膝の硬さも気になります。O脚でガニ股なのもそのせいで、投げた後に足が左に流れて、一塁方向に歩いてしまう。実際、股関節に故障も出たりして、ケガの心配もありますね。

持ち味を失わず、どう変化を見せるかに注目


ノリ:来年のドラフトまであと1年。ちょっと気が早いですが、生田目投手がプロにいったらどんな選手になると思いますか?

持木:まだプロか社会人野球かと迷っている段階ですが、プロではその厳しさを知り、洗礼を受けてからが勝負だと思います。個人的には、枠におさまらずに、このままのびのびとやってほしいですけれど。

キビタ:こういう個性的な選手は、球団の編成側と監督・コーチなど現場の関係が密接で、選手の良さが共有できているかどうかが重要です。そうでないと現場で「なんだ、こいつは?」と生田目投手の持ち味が理解されないで終わってしまうこともありますから。
あとこれは自論なんですが、野性的なこのタイプの顔は成功する選手が多い(笑)。プロでもいろいろな経験をしながら、成長していってほしいです。

持木:もし、中央球界の強豪大学なんかにいたら、使われずに終わっていたかもしれない選手。そういう意味でも、めずらしいタイプだし、エンターテイナー的なキャラクターも光っている。あと1年、プレーも野球への価値観も、どう変化してくるか、楽しみな選手です。


 見る人がつい応援したくなってしまう、まるで野球漫画のキャラクターのような、強烈な個性を持つ生田目投手。150キロの右の本格派としても、来年のドラフトでは、話題性も高くなるであろう有力候補。プロの世界でもファンの心を掴んで離さない、人気選手となりそうだ。


取材・文=則松葉子(のりまつ・ようこ)
ラジオ局勤務後フリーのライターとして美容やカルチャー、広告コピーを中心に執筆中。野球に関してはほぼ新人。春夏の甲子園と奇数月の大相撲を楽しみに生きている。スタイルにこだわらない柔軟なライティングがモットー。


イラスト=横山英史(よこやま・ひでし)
野球を題材にしたイラストを得意とするイラストレーター。スポーツ雑誌のイラストや、メジャーリーグ カンザスシティ・ロイヤルズのクラブハウスに飾られているチーム歴代プレーヤーを描いた作品なども制作。


出演者=キビタキビオ(きびた・きびお)
野球のプレーをストップウオッチで測る記事を連載中。NHKBS1で放送されているプロ野球ドキュメント番組「球辞苑」などに出演するなど、活躍の幅を広げている。


出演者=持木秀仁(もちき・ひでと)
ご存じ、本誌『野球太郎』編集長。今夏は甲子園大会の盛り上がりと相まって、週刊誌やテレビなどの取材を数多く受けた。

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