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復活を遂げた涌井秀章と、復活間近のダルビッシュ。遠く離れていても交差する、2人のライバル関係


 お互いが「他にはいない、唯一のライバル」と認め合う、涌井秀章(ロッテ)とダルビッシュ有(レンジャーズ)。2004年ドラフト組の同世代だから、と言ってしまえばそれまでだが、常に第一線で競い合ってきた2人の歴史は深くて重い。

 昨季、最多勝を獲得して完全復活をアピールした涌井。そして、トミー・ジョン手術から復活へのプログラムを順調に進めているダルビッシュ。今季はようやく、2人の快投のニュースをそろって見ることができるかもしれない。

涌井秀章の紆余曲折


 2004年、西武からドラフト1位で指名されて、2年目から先発ローテーション入り。同年から5年連続2ケタ勝利、2009年には沢村賞受賞と、デビューから結果を残し続けた涌井。

 しかし、2011年は故障もあって9勝止まり。2012年、2013年は先発や抑えと配置が定まらず、本来の涌井らしさを見せられないままFAで西武を去った。ちなみに、ダルビッシュが海を渡ったのが2012年。ダルビッシュが日本を離れたことと、涌井の不振が重なることは偶然だろうか?

 ロッテに移籍して2年目となった昨季は開幕投手を任された。シーズン後半の追い込みもあって、2009年以来6年ぶりの最多勝を獲得。今季も9試合に登板して早くも5勝をマーク。3・4月の月間MVPを受賞した。

 現在の防御率は2.95と、決して手も足も出ない感じではない。しかし、日本ハムの栗山監督が涌井相手に敗戦した際、「涌井らしいよね…」と語った通り、打たれても要所を締める、涌井本来の投球が蘇ったということだろう。

ダルビッシュ悪夢の2015年、そして復活へ!


 2012年、日本ハムからテキサス・レンジャーズに移籍したダルビッシュ。メジャー1年目に16勝を記録すると、2013年に13勝、2014年に10勝と、3年連続で2ケタ勝利を達成した。

 コンスタントに成績を残していたものの、昨年3月、スプリングトレーニングの初登板で右腕の張りを訴えると、検査で右ヒジ側副靱帯の損傷が判明。トミー・ジョン手術を受けて、長いリハビリ生活を送ることとなる。

 今月に入ってマイナーで実戦復帰すると150キロ台を連発。本人も「やりたいことができた」と語り、米メディアも「オールスター級の投球だった」と賞賛。本格復帰は今月下旬に予定されており、まもなくダルビッシュが再びメジャーのマウンドに立つ姿を見ることができる。


 ダルビッシュは2012年の日本ハム退団会見で、「もしまた日本球界に戻ってくるのならこの球団で」と語った。その言葉を信じて待っているファンもいるだろう。

 将来、涌井とダルビッシュは再び同じマウンドに立つかもしれないし、もう二度とないかもしれない。しかし、その可能性とは関係なく、お互いの存在が自己を高めあっていることは間違いない。


文=サトウタカシ (さとう・たかし)

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