春季キャンプが始まってから20日以上が経過した。多くの対外試合が行われており、各球団ともサバイバルレースが行われている。そこで、様々な争いの一つである先発ローテーション投手の状況を球団ごとに探ってみた。今回はパ・リーグの6球団だ。
パ・リーグ3連覇を目指す西武は2年目を迎えるニールが軸となる。昨年は11連勝でシーズンを終えており、連勝をどこまで伸ばせるかも注目される。その後に夏の甲子園優勝投手コンビの高橋光成と今井達也、2018年のドラフト1位である松本航が続く。
5人目以降も昨シーズン開花の兆しを見せた本田圭佑にルーキーの宮川哲、新外国人のノリン、復活を目指す榎田大樹に十亀剣と名前は次々に挙がってくる。さらには14年ぶりに復帰した松坂大輔もここまでは順調だ。頭数は揃っており、しばらくは開幕ローテ争いが続きそうだ。
自律神経失調症を公表した多和田真三郎は、現時点で復帰のメドが立っておらず、開幕ローテーションからは外れることになる。
昨シーズンはエースの千賀滉大、サブマリンの高橋礼の2人が規定投球回に到達した。今シーズンもこの2人が軸となる。しかし、千賀はすでにブルペンには入っているものの、ふくらはぎを痛め調整が少し遅れている。状態を確認しながら、開幕を目指すことになる。
高橋礼はキャンプ後に左太ももを痛めリハビリ組に回った。現時点で開幕に間に合うかは未知の状態。今の段階から無理はさせないだろう。また、東浜巨、和田毅らがここまでは順調にきている。新外国人のムーアもブルペンでは好投をみせた。まず、間違いなくローテーションには入ってくるはずだ。
他にはバンデンハーク、石川柊太、東浜巨、和田毅らも実戦登板をはたしており、このあたりまでが開幕ローテーション候補となりそうだ。大竹耕太郎、武田翔太らは故障からの復帰待ち。
今シーズンの12球団で最もローテーションが厚いチームとなった楽天。2枚看板の則本昂大と岸孝之にロッテから涌井秀章が加わり、今シーズンから先発へと転向する松井裕樹、昨シーズンに結果を残した石橋良太が続く。さらには、弓削隼人と辛島航の両左腕、期待の若手・藤平尚真と先発候補は数多い。5番手、6番手候補が左右揃っており、戦略の幅も広がりそう。
そのなかで則本はこのオフシーズンにナックルカーブを習得した。すでに練習試合でも解禁しており、感覚を確かめることができたという。新たな球種を手に入れた則本がエースとしてチームを引っ張っていく。
このオフシーズンにMLBへの夢を語った石川歩と美馬学が2本柱となる。そこに昨シーズン8勝をマークした種市篤暉、岩下大輝、二木康太、小島和哉らが続く。2016年ドラフト1位の佐々木千隼もここまでは順調だ。また、昨シーズンは中継ぎを務めた唐川侑己も今シーズンは先発での起用となる。練習試合では2回1失点とまずまずの成績。若手たちの争いに割って入る。
注目のドラフト1位・佐々木朗希はこのキャンプで1軍スタート。ブルペンでも力強い投球を見せているが、現段階で実戦登板は行っていない。今後の育成方針は明らかになっておらず、ローテーション入りとなるかは未定。
昨シーズン、最多勝のタイトルを獲得した有原航平が軸。そこにマルティネス、ロドリゲス、バーヘイゲンと3人の外国人投手がつづく。他にも金子弌大、ドラフト1位左腕の河野竜生そして吉田輝星が先発候補だ。
しかし、栗山英樹監督は今シーズンもオープナー戦略を用いながら戦うことが濃厚。先発、中継ぎの概念から離れて考えなければいけないかもしれない。また、本来であれば上沢直之も先発ローテーションに入る存在だが、骨折からの復帰は6月以降の見込みとなっている。
オリックスは山岡泰輔、山本由伸の若い2本柱が軸となる。3番手には左腕の田嶋大樹が入りそう。4人目以降を昨年ブレイクした榊原翼に張奕の2人に竹安大知、K-鈴木といった投手たちが争うことになりそうだ。来日3年目となるアルバースは外国人枠との兼ね合いもあり、現時点では確約とは言い切れない。
また先発としての実績があるディクソンは、開幕から抑えとして起用される。すでに昨年の段階で西村徳文監督が明言している。投手陣全体が若いため、ツボにはまれば上位争いに加わることも夢ではない。
文=勝田聡(かつた・さとし)