千賀は1993年1月生まれの23歳。愛知県立蒲郡高校出身。高校時代は県大会3回戦が最高と、目立った活躍はなかったが、2010年育成4巡目でソフトバンクに入団。プロ2年目の2012年4月に支配下登録され、プロ初登板で初先発を果たす。
この年は2試合の登板に終わるも、翌2013年にはセットアッパーとして51試合に登板して17ホールドを記録。オールスターゲームにも出場した。
2014年は右肩痛の影響で6月に登録抹消。翌2015年はファームで9勝を挙げるも、1軍の壁が厚く4試合の登板に終わる。
しかし今年は開幕から先発ローテーション入りを果たし、4月13日の西武戦では、プロ入り初完投勝利を挙げた。
千賀の魅力といえば奪三振。2013年は56回1/3を投げ85奪三振と、驚異の奪三振率13.67を記録。先発とリリーフで異なるものの、昨季1位の大谷翔平(日本ハム)が10.98、歴代シーズンNo.1が石井一久(1998年当時ヤクルト)の11.05と比べても、その数字の凄さがわかると思う。
今季もここまで36奪三振は、則本昂大(楽天)、大谷に続く3番目の数字。ストレートは150キロ台を連発、そして打者の視界からボールが消えるとも言われる「お化けフォーク」が最大の武器だ。
一度、バックネット裏から千賀の球を見たことがあるが、「あの角度で落とされちゃバッターもたまったもんじゃないよな」と感じたものだ。
開幕から先発ローテーションを守り続けている千賀。しかし、1シーズン先発を約束された身分ではない。ファームに目を向けてみると、攝津正、岩嵜翔、松坂大輔、山田大樹、大隣憲司と1軍実績も申し分ない選手たちが連日登板。6つしかない先発の枠を狙っている。
苦労して掴んだ先発の座を守り抜くため、千賀は今日も剛速球とお化けフォークで相手打線に立ち向かう(データは2016年5月3日現在)。
文=溝手孝司(みぞて・たかし)
札幌在住。ライター、イベント関連など、スポーツ関連の仕事を精力的にこなしている。北海道生まれなのに、ホークスファン歴約40年。99年ダイエー初Vを福岡ドームで観戦するなど、全国を飛び回りながら、1軍2軍問わずプロ野球を追いかけている。