メジャーで通算333本塁打以上放った選手で、ゾロ目の通算本塁打記録を持つのはラミレスただ1人。333本塁打、444本塁打、555本塁打、666本塁打で現役を終えた選手はいない。
一方、日本のプロ野球を見ても通算本塁打数がゾロ目でそろっている選手はただ1人。そう、ミスターこと長嶋茂雄(元巨人、現巨人終身名誉監督)だ。長嶋は444本塁打で現役を引退。プレーのみならず、通算本塁打数まで人々の印象に残るゾロ目で終わらせたのはさすがだ。
そのほかの目立った通算記録を持ち、それがゾロ目になっている選手はいるのか調べてみると、通算安打では2222安打、1111安打の選手は不在。400打点以上の選手だと、昨年8月に亡くなった豊田泰光(元西鉄ほか)が888打点と1名のみだった。
意外にも(?)、ゾロ目で現役を終えるというのは少ないようだ。
では、通算出場試合数はどうか? 4ケタ以上の出場回数の選手を見ると、「安打製造機」の異名を持つ榎本喜八(元毎日ほか)が2222試合出場で唯一のゾロ目だ。もう少し条件を下げてみると、999試合はいなかったが、横山光次(元阪神)888試合だった。
やはり母数が大きくなりやすい記録は難しいのだろうか。そこで、母数が少ない通算三塁打を調べてみた。
通算三塁打の日本記録は福本豊(阪急)の115本(日米通算ではでイチローの119三塁打、2016年現在)だ。ゾロ目となると99三塁打の「打撃の神様」こと川上哲治(元巨人)、88三塁打の広瀬叔功(元南海)の名前が挙がる。
続いて66三塁打では「青バット」の大下弘(元東急ほか)、1950年代の南海において「100万ドルの内野陣」の一角を担った蔭山和夫(元南海)、ソフトバンクのコーチを務める村松有人(ダイエー)の3人が名を連ねた。
55三塁打でも田宮謙次郎(元大阪ほか)、高木守道(元中日)、松永浩美(元阪急ほか)らがマークしており、母数が少ないとこのようにゾロ目の確率は上がる。
投手の記録を見ると通算勝利数では長嶋と数々の名勝負を繰り広げた「ザトペック投法」の村山実(元阪神)が222勝。3ケタ以上の勝ち星のなかで、唯一のゾロ目となっている。通算勝利数が、生涯のライバルであった長嶋の通算本塁打数の半分という事実には、何か運命的なものを感じてしまう。
また、通算セーブ数では左のアンダースローとして活躍した角盈男(元巨人ほか)が99セーブ。通算登板数では久保田智之(元阪神)とヤクルトのコーチも務めた河村保彦(元ヤクルト)が444試合。400試合以上でのゾロ目はこの2人だけだ。
ふと思い立ったときに、いろいろな角度から過去の記録を眺めてみるのも面白い。2000本安打、200勝、250セーブといった名球会入りの条件となる数字とは関連が薄くとも、「ゾロ目」のように「ある数字」に目を向けると意外な発見があるだろう。
文=勝田 聡(かつた さとし)