まず、MVP候補の成績を確認しよう。候補に挙がるのはこの4人だろう。
≪野手≫
鈴木誠也(22歳)
116試合:打率.335(421-141)/24本塁打/85打点/15盗塁
菊池涼介(26歳)
128試合:打率.323(523-169)/13本塁打/54打点/13盗塁
新井貴浩(39歳)
120試合:打率.308(422-130)/18本塁打/98打点/0盗塁
≪投手≫
ジョンソン(32歳)
24試合:14勝6敗/防御率2.22/投球回166.1/127奪三振
ここまでの活躍を見ると、このうちの誰かがMVPを手中に収めるはずだ。MVPは記者投票で1位(5ポイント)、2位(3ポイント)、3位(1ポイント)のポイント制となっている。
活躍度ではやはり野手有利、第1候補は鈴木と菊池の二軸だ。鈴木は大ブレイクで「神ってる」の流行語を生み出し、菊池も昨年のスランプから見事に復活。勝負の8月には月間MVPも獲得した。
2人とも得点圏打率は.359の同値で甲乙つけ難く、ならば1位と2位に並べた投票が増えそうだ。ここは年功序列かつ内野守備の貢献度も高い菊池が頭を取ると見た。
あまり目立たないが、菊池は現在169安打でセ・リーグ最多安打のタイトルも目の前。6本差の大島洋平(中日)にマクられなければ、MVPへの大きな後押しとなる。
新井も十分に可能性はある。現在、セ・リーグの打点トップを走っており、打点王獲得となれば、かなりの浮上が期待できる。
また黒田博樹がMVP候補になり得る成績ではないことも新井の浮上要素だ。本来は黒田に入れようと思っていた記者の「男気ポイント」が新井に一手に集まる可能性は高い。
とはいえ、3位の投票が多そうだが、もしも菊池が最多安打を取り逃した場合、唯一のタイトルホルダーとして順位を大幅に上げそうだ。
中穴はジョンソン。投手陣の次点では野村祐輔(27歳)もいるが、14勝3敗、防御率2.96の好成績も23試合で139.2回と投球回がやや物足りず、投手を入れるならばジョンソンになるだろう。
「3人選べ」と言われて、野手3人を並べる記者はどのぐらいいるだろうか? やはり、かなりの数のバランス派が現れ、ジョンソンがポイントをかき集めそうだ。
ジョンソン、野村ともに現在ハーラーダービートップの14勝。もし、ジョンソンが最多勝のタイトルを獲れば、こちらもタイトル得票が期待できる。
文=落合初春(おちあい・もとはる)