交流戦が終わり、ペナントレースの前半戦も残すところ2週間ほどとなった。セ・リーグでは巨人、広島、阪神のAクラスとDeNA、中日、ヤクルトのBクラスによる分断化が進みつつある。DeNAは交流戦期間中に接近してきたが、中日とヤクルトは3位争いも厳しくなりそうなほどの状況だ。
そんな苦境にある中日とヤクルトで予想以上の活躍を見せている選手たちがいる。高橋周平(中日)と村上宗隆(ヤクルト)だ。今回は、この2人から紐解く成功の法則を紹介したい。
今シーズン、首位打者争いを演じている高橋周平。2011年のドラフト1位で中日に入団後、期待されながらも伸び悩み、初めて規定打席に到達したのは7年目の昨シーズンだった。
このように中日の主力野手は遅咲き感のある選手が多い。平田良介もそうだろう。2005年高校生ドラフト1巡目で指名された平田が開花したのは6年目となる2011年のこと。この年の平田は出場試合数が113試合と初めて100試合を超えた。また、11本塁打を記録し、初めて本塁打が2ケタに到達した。
以降は故障で離脱するシーズンがあったものの、主力として定着。2015年にはベストナイン、2018年にはゴールデン・グラブ賞を受賞するなど、リーグを代表する選手へと成長を遂げた。
大砲候補として期待され続けている福田永将もそうだ。田中将大(ヤンキース)や前田健太(ドジャース)、坂本勇人(巨人)といった選手たちと同期になる福田は、2006年の高校生ドラフト組。3巡目で中日に入団するも、田中らが華々しく活躍するなか、大きな実績を残せないシーズンが続いた。
ようやく開花の兆しが見えたのが、プロ入り9年目となる2015年のこと。キャリア最高の185打席を経験し、6本塁打を記録。翌年から3年連続で2ケタ本塁打を達成する足がかりとしたのである。ちなみに、そのときすでに田中は海を渡っていた。このことからも、福田の遅咲きぶりがわかるだろう。
このように現在の中日の主力となった高卒入団組はじっくり熟成させるかの如く、時間をかけてゆっくりと育っていったのである。さほど結果を残していないにもかかわらず、戦力外とならずに現役を続けている選手は期待をかけていいだろう。成功する可能性が高いからこそ、球団は契約を更新しているのである。
もしかしたら、金の卵候補として入団した昨年のドフラト1位・根尾昂も同様に開花するのは数年後かもしれない。仮に早い段階で結果を残すことができなくても、中日の熟成に信頼を置き、長い目で見守っていきたい。
村上宗隆が本塁打を連発している。6月18日時点ですでに18本塁打を放ち、セ・リーグ3位タイ。高卒2年目以内の選手としては、球団タイ記録にもなっているほどの活躍だ。
1994年に高卒2年目で20本塁打を放った松井秀喜(当時巨人)以来の18本でもある。また、王貞治(当時巨人)、森友哉(西武)が記録した17本塁打を、今の段階でクリアしている。まさにスラッガーへの階段を登っている途上といったところだ。
また、52打点もセ・リーグトップ。早生まれの村上は今シーズンを19歳で過ごすが、仮に打点王を獲得すればNPB記録である中西太(当時西鉄)の20歳、セ・リーグ記録である長嶋茂雄(当時巨人)、王貞治の22歳を更新することとなる。
早い段階で打点王を獲得するのは、成功というレベルを遥かに超えたレジェンドへの片道切符でもある。今シーズン、村上が史上最年少となる19歳で打点王を獲得できたなら、成功は約束されたようなもの……と言いたい。
(成績は2019年6月18日現在)
文=勝田聡(かつた・さとし)