【2015春・東都大学野球リーグ開幕】エースのケガ、新入生の活躍でどうなる? 今季の東都のみどころとは
4月7日、東都大学野球1部リーグが開幕。晴天に恵まれず、初日から1試合が雨天順延となったが、第1週目を無事に終えた。タイミングが前後したが、東都1部の見どころを紹介していく。
★注目の新人選手
やはり、なんと言っても岸潤一郎(明徳義塾高→拓殖大)の注目度が高いだろう。高校時代に沸かせた“二刀流”が見られるのは先になりそうだが、オープン戦から指名打者として主軸の一角を担っていた。拓殖大は投打の柱が卒業し、いずれにおいても岸に期待したいところだ。
その岸は開幕戦から3番DHでフル出場。初戦、2戦目ともにノーヒットだったが、3戦目ではタイムリー三塁打を記録。嬉しい初安打初打点が、決勝点となった。また、4番に座る森晋之介(大阪桐蔭高→拓殖大)も岸に続いて初安打初打点をマーク。1年生コンビの活躍で拓殖大が勝ち点を挙げた。
亜細亜大には“琉球のライアン”こと山城大智(沖縄尚学高)、昨夏の甲子園優勝メンバーの4番打者・正隋優弥(大阪桐蔭高)ら、甲子園を賑わせたルーキーが入部。ともに背番号をもらっており、早期の活躍が望まれる。
▲層が厚い野手陣に割って入れるか? 正隋優弥(亜細亜大/写真は大阪桐蔭高時代)
★優勝争い必至?
最近3季連続2位と、安定した成績を残している國學院大。昨秋は、投手陣が故障や不調により万全な状態で臨むことができなかった中、栃谷弘貴(現Honda鈴鹿)が奮闘を見せた。さらに、栃谷1人に負担はかけられまいと、それまで登板機会がなかった投手たちも次々と神宮のマウンドに立った。多くの左投手が登板しており、経験を積んだ彼らが中心になっていくだろう。
さらに、3月に行われた明治大とのオープン戦では、ルーキーを含む公式戦出場のない3投手が登板。制球が定まらない初回に3ランを浴びたが、以降はランナーを出しても粘り強いピッチング。リーグ戦にも十分期待できる結果だった。
そんな投手陣でも右腕の土倉将(4年・遊学館高)に期待したい。下級生時は中継ぎとして堂々たるピッチングを披露していたが、昨年は結果を残せず。悔しい1年になった。場数は現チームの中でも多く踏んでいるだけにかかる期待は大きい。上背はないが力のあるボールを強気に、ふてぶてしく投げ込む姿をまた見たい。
主将を務める柴田竜拓(4年・岡山理大付高)は攻守ともに中心となる。昨秋の21U代表にも選ばれ、プロと共にプレーしたことで自らの力のなさを知ることができたという。同時に技術的にも勉強になったそうで、さらにレベルアップした姿を見られることになるだろう。昨秋はケガで出遅れただけに、ラストイヤーにかける思いは強い。
▲ベストナインにも返り咲きたい柴田竜拓(國學院大)
おもしろい存在となりそうなのが拓殖大。先述した通り、投打にわたり柱が抜けてはいるものの、新チームからかなりの練習量を積んできたと聞く。昨年には常勝・亜細亜大から3戦目まで、もつれながらも勝ち点を奪うなど、台風の目となっている昨今。リーグを盛り上げる存在から、一躍先頭に立つ可能性も十分にありえる。守りが堅いチームだけに、得点力がプラスされれば怖い存在になる。
その國學院大と拓殖大は、今週に直接対決を迎える。
★駒大・連覇へ黄色信号? エース今永の負傷
今年の大学野球界最注目投手ともいえる、昨秋、大学日本一に導いた駒澤大のエース・今永昇太(4年・筑陽学園高)。だが、開幕戦ではマウンドに立つことなく試合を終えた。各メディアで既報の通り、左肩痛のためである。2戦目以降もベンチには入っていたが登板機会はなく、チームは1勝2敗で勝ち点を落としてしまった。
片山雄貴(4年・福岡工大城東高)、東野龍二(2年・履正社高)ら投手陣は3試合で失点4と決して悪くないが、2戦零封に終わった攻撃陣が気にかかる。もちろん対戦した飯野徹也(4年・作新学院高)、尾松義生(4年・明徳義塾高)は拓殖大の投手らしく、高さを間違えない丁寧な投球を披露していた。容易に打ち崩せる相手ではなかったことは事実だが、あまりにも簡単に終わってしまった印象がある。また、昨年までの駒澤大はしつこいほどに打球から目を離さなかったのだが、今季はその印象が薄らいでいる。
空き週となる今週に立て直しを図りたいところだ。
■ライタープロフィール
山田沙希子(やまだ・さきこ)/東京都出身。早い時期から東都大学リーグの魅力にハマり、大学生時は平日の多くは神宮球場または神宮第二球場に通い詰めた、三度の飯より東都大学リーグが好きなライター。多くの東都プレイヤーの取材を通して、さらに東都愛は加速。ナックルボールスタジアム主催のイベント「TOHKEN〜東都大学リーグ野球観戦研究会〜」でも活躍。
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